(19) ゴールに依存した抽象化を用いた法的推論の研究
研究代表者:原口 誠 教授
北海道大学 工学部
- 1)研究進捗状況
- 「ゴールに依存した抽象化(GDA)を用いた法的推論」の研究提
案段階では、1階ホーン論理に対して設計したGDAを直接的に適
用するアルゴリズムで十分との立場をとっていたが、その後の考察
に基づいて、2)で示す基本設計の変更およびその詳細化を行った。
テスト用プログラムは, 過去のソフトウエアモヂュールを活用する
形態で実装中.
- 2)現在までの主な成果
-
基本設計をやりなおし, その詳細設計を行った. 以下, 詳細設計の
概略を示す.
- 2.1. 入力
- (ホーンには限定しない)1階の順序ソート論理の節形式の知識表
現T、及び、論証構築を意図して いるゴール節G。ここでTは、new
HELIC-II の領域知識である型階層およびH項を、それぞれ、ソート
階層および整合ソート節に翻訳したものを指す。
- 2.2. 出力・推論目標
- 領域知識Tの中には、法令や事例を表すルールが含まれている。こ
うしたルールのソート汎化によって法的類推を行うためのソートの
新たな類似性(型階層)を出力し new HELIC-II に渡す。
- 2.3.推論のトリガー
- 事例や法令ルールの適用範囲が狭すぎるために所与のゴールが適用
されなかった場合を考察する。正確には、順序ソート単一化の失敗
によりルールの適用が阻害されたときに、単一化の失敗を救済でき
る新たなソート階層を作り出すためにGDAが起動されとする。し
たがって、失敗情報はGDAが求めるべき解に対する制約としてG
DAアルゴリズムに渡される。
- 2.4.統制目的に基づく推論(GDAに対するゴール)
- GDAが用いるゴールは、初期ゴールGではなく、類推の対象節と
その法的統制目的に関わる述語(CF述語)を考える。こうしたC
F述語を算出するために、対象節の論理的否定を仮説的な公理、C
F述語集合を production field と見立てた consequence finding
手続きを起動し、対象節と関連したCF述語を決定する。
- 2.5. GDAアルゴリズム
- 上記に述べた前処理の下で、GDAは 2.4 で決定されたCF述語に
関連したソート抽象を算出することにより、新たなソート間の類似
性で類推の対象節の適用失敗を回復できるものを算出する。
- 3)今後の研究概要
- 実験システムおよび平成7年度最終システムの実装に向けて
既存の consequence finding program を利用したテストプログラム
を実装中。既存のソフトウエアとしては、研究室で既に開発済みの
ものが利用できる。現在開発中のものは、それらをモジュールとし
て組み込んだProlog 版(Sicstus Prolog)であり、12月中旬までに
は完成予定。これを用いた例題のテストを行いながら、これと平行
して、並列処理が可能な部分を KLIC で再実装する戦略をとる(1
月中)。
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