第五世代コンピュータプロジェクトの技術的な成果を、次の2つに大別して論 じてきた。
これらの技術は、第五世代コンピュータプロジェクトでは、階層をなしており、 並列記号処理技術が土台となり、その上に知識情報処理技術が構築されている。 並列記号処理技術による処理能力の大幅な向上は、知識情報処理技術 の到達可能な上限を押し上げる形となっている。 知識情報処理技術のさらに先には、本格的な人工知能の実現へと連る技術がある。
第五世代コンピュータプロジェクトで開発された知識情報処理技術は、 従来の技術では、到達困難であった知識情報処理の応用分野のいくつかに 足を踏みいれることを可能とした。 その結果、その先の研究分野について、研究の道筋が見えるものや、 さらなる基礎研究が必要なものなどの区別が、明確になりつつある。 このようなものの中には、パターン認識や学習などの、人間のより高度な 知的活動に関する研究がある。