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汎用的な大規模並列処理技術

本プロジェクトで開発された汎用的な大規模並列技術は、 並列推論マシン(PIM)、その言語である並列論理型言語(KL1)、 そのオペレーティング・システム(PIMOS)が中核となっている。

並列推論マシンは、512台の要素プロセッサを有するモデルを始めとして、 総計で1、000台を越える、5種のモデルが試作された。これらのモデル は、共通の言語とオペレーティング・システムで制御され、 その上に、遺伝子情報処理システムなど、約20種の 実験的応用システムが試作されている。これらのシステムの開発によって、 大規模並列処理技術が、記号処理や知識処理の応用に対して、 世界で最も高速なシステムを実現しているとともに、 並列ソフトウェアの生産性についても、他の追随を許さないものであることが 実証された。

このような大規模並列処理技術は、プロジェクトの開始当初では、 開発リスクの極めて大きな夢の技術として認識されていた。 しかしながら、10余年を経た今日、多くの人が、並列処理技術に基づく コンピュータが次の時代の主流であると認識するようになり、現実に そのようなコンピュータが、市場に次々と登場する時代となった。

これらのコンピュータは、まだ、プロセッサの台数やメモリー量など、 そのハードウェアの規模は十分ではないが、本プロジェクトで開発された言語や 基本ソフトウェアを搭載することが可能であり、それにより、知識情報処理の 応用に対して実用的な処理速度を達成できる潜在的能力を有している。 これらのコンピュータに、本プロジェクトで開発された言語や基本ソフトウェア などを移植し、多くの研究者や技術者に広く利用可能とすることが求められている。

現在、このための、「第五世代コンピュータの研究基盤化プロジェクト」が準 備されている。