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知識情報処理技術の基盤技術

上で述べた大規模並列処理技術を土台として、知識情報処理の基盤技術、 すなわち、論理に基づき各種の知識をプログラムし、知識ベース化するため 中核技術が確立した。この技術は、人間社会に存在する各種の有用な知識を統一的 に記述し、コンピュータ上で利用するための技術である。

論理に基づく知識の記述は、従来は、人間社会における規則や経験を客観 的、形式的に表現し、整理する目的で使われることが多かった。上で述べた大 規模並列処理技術によって、述語論理で記述された定理を、従来技術に比べて、 数百倍以上高速に証明することが可能となった。これは、同様に、述語論理に 基いて記述された知識を一種のプログラムと見なして、コンピュータ上で高速 に実行し解答を得ることが、実用的な時間内で可能となったことを意味する。

この技術によって、コンピュータを、論理に基づく知識表現言語を解釈し、 ユーザの問いかけに応答する高度な推論マシンとすることができる。将来的に は、ユーザは、マシンのハードウェアやソフトウェアの内部構造を知らなくとも、 論理に基づき知識をプログラムするだけで、高度な知識情報処理システムを作成できる こととなる。この技術を発展させると、コンピュータの細かな専門的知識の代 わりに、この知識表現言語を学ぶことで、医学や法律分野の知識ベースやその 応用システムなどの作成が可能となり、プログラミングやソフトウェアといっ たものの方法論が変わる可能性がある。