第五世代コンピュータ・プロジェクト評価ワークショップ概要
Summary of the Workshop

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定的な応用がまだ出来ていない。また、ICOTのソフトウェアはICOTの作っ
たハードウェアでしか走らせることが出来ないものである。したがって、このよ
うなソフトウェアを公開し、普及させるためには、市販のマシンに移植し、メ
インテナンスを行い、ソフトウェアの信頼性を向上させるべきである。また、
これらを利用しようとする国際研究グループのサポートを行うべきである。

8)R.Stevens(アルゴンヌ国立研究所・米国)

本プロジェクトの評価をアメリカ流に行うとすれば、このプロジェクトが基礎
研究のプロジェクトであったのか、あるいは開発研究プロジェクトであったのか
をはっきりさせる必要がある。すなわち、基礎研究においては肯定的であれ否
定的であれ明確な結果があれば成功といえる。開発研究プロジェクトにおいて
は開発成果が製品化一歩手前までまとまって、始めて成功したと言うことがで
きる。さらに、どのような結果も得られなければ、これはどちらにおいても失
敗である。

本プロジェクトは、この双方の面を持っており、また、米国では、日本の研究開
発のプロセスが良く知られていないために本プロジェクトをどう評価するかに
ついて混乱がある。

ICOTの今後について、以下を提言する。

並列処理、性能評価、知識べースに基づいたプログラミングシステム、記号処
理と数値計算の融合といった基礎研究について長期間のプロジェクトを行うべ
きであると考える。また、基礎研究の結果については、そのすべてをプロジェ
クトの初期段階から公開すべきである。さらに、研究目的・予算・マネージメン
トといった多くの面を共同で行う「本格的な共同研究」を推進すべきである。
その場合の研究開発の内容はソフトウエアに集中すべきであり、ハードウエア
やOSは企業に開発させるべきである。

9)S.Sundström(スウェーデン計算機科学研究所・スウェーデン)

本プロジェクトは論理プログラミングの技術が有望な市場を形成し得る研究分
野であることを示し、多くの研究計画や研究機関がICOT設立の結果、生まれ
ることになった。また、ICOTで生み出された多くの考え方や概念はICOT以
外の研究機関でさらに研究開発されることとなった。

結論として、本プロジェクトは実際、価値のあるものであり、スウェーデンと日
本との緊密な協力関係を確立することに成功した。さらに本プロジェクトは「ス
ウェーデン計算機科学研究所(SICS))」の設立の動機となった。

ICOTのソフトウエアは、将来的には、広く使われている計算機に移植するべき
であり、それによって普及をはかり、その結果を言語やソフトウェアにフィード
バックするべきであると考える。

10)S.Tärnlund(ウプサラ大学・スウェーデン)

ICOTの研究結果は世界的には最高水準にあると考える。また、まさにコンピュー
タ科学におけるブレークスルーを成し遂げた。PIM、PIMOS、KBMSそして、
評価ソフトウエアが一体化してできており、プロジェクトは、大きな成功を収
めた。特に、私は論理型言語の実行速度が、当初の40KLIPSが100MLIPSにま


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