第五世代コンピュータ・プロジェクト評価ワークショップ概要
Summary of the Workshop

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米国国立衛生研究所(NIH)はICOTと1988年以来、コンタクトをとってきてお
り、遺伝子情報処理とタンパク質の折り畳みに関する共同プロジェクトを行っ
てきた。その結果をもとにコメントをすると、国際的に用いられている言語は
英語であり、プログラミング言語はCである。したがって、マニュアルは英語
であるぺきであるし、Cと論理型言語とのリンクも考慮されるべきであると考
える。現在、ICOTとの研究は、KL1言語でPIMを、C言語でグラフィック
インターフェース、さらにシリコングラフィックスを使って一体化しており、当
初よりもスムーズに使えるようになった。いずれにせよ、このような共同研究
プロジェクトは今後も継続されるべきものであると考える。

5)G.Kahn(INRIA)

本プロジェクトのスコープはたいへん広く、それをKL1を通じて統合するもの
であったといえると思う。また、各室長発表やデモは良くできたものであった
が、発表がうまくいった研究だけを集めており、やや政治的な感じがあった。う
まくいかなかったものもその原因を分析し、発表してもらえればより良かっ
たと思う。結論としては、まず10年という年月はプロジェクトとしては特に長
いものではなかったという点で、古川さんには賛成しない。また、本プロジェク
トによって技術的には非常に多くのものを得ることができた。また、社会的に
は基礎研究を促進し、国際的な協調を進めてきた。このような観点からプロジェ
クトを突然に終了するぺきではないと考える。また、このプロジェクト以前は
日本の科学者とはまったく対話がなかったのだから、ここで生まれた友情も大
事にすぺきと思う。

6)M.McRobbie(オーストラリア国立大学)

われわれは特に定理証明の分野において共同研究を行ってきている。そのよう
な経験から、次のように結論する。

まず、ソフトウェアの無償公開については、私の知るかぎり、初めてのことで
あり、大きく評価したい。また、四次元コンピュータ・プロジェクトはICOTか
ら多くのものを学ぶことができると考える。われわれは、定理証明の共同研究
を行い、最近I0TのPIM/mを使って、これまで解けなかった群論の問題に関
する定理を解くことに成功している。PIM/上の定理証明システムによって、
並列マシンを使えばこの問題が高速に解けることがわかり、将来の研究方向が
明確化してきた。共同研究の継続、ICOTの開発したソフトウェアの市販のマ
シンヘの移植などを行い、さらに多くの人が利用できるようにするべきである。

7)E.Shapiro(ワイツマン研究所・イスラエル)

私はICOTの招へい研究員の第号であり、そのときこのプロジェクトの目標
として説明を受けた並列知識処理技術や、その成果を世界の研究者に広く公開
するといった方針は、今日、ほぼそのとおりに達成されていると思う。したがっ
て、本ブロジエクトは科学的技術的にはまちがいなく成功したと考える。しか
し、国際レベルのインパクトという点においては、当初想定されていたレベル
に達したとは思わない。すなわち、ICOTにおける応用研究はまさに始められ
たばかりであり、得られた科学的技術的成果を示す「これは絶対」といった決


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