第五世代コンピュータ・プロジェクト評価ワークショップ概要
Summary of the Workshop

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[発表要旨]

1)D.Warren(ブリストル大学・英国)

本プロジェクトは、全体として大きな社会的なインパクト、たとえば他の類似
プロジェクト・組織等の促進と、科学的なインパクト、たとえば国際的に論理
プログラムをブロモートした点があったと認められる。また、組織としてのICOT
は3年で研究員が入れ替わるという点、研究員はメーカよりの出向という制約
があったと思う。

プロジェクト全体としては、ハードウエアおよびオペレーティングシステムの研
究に労力を割きすぎ、その分、知識処理や応用への展開が不足したように見受
けられる。

結論としては、100MLIPSの推論性能を達成し、GHCというエレガントな言
語を確立したほか、先端的な並列記号処理の応用ソフトウエアの開発に成功し
ている。これらを見ても本プロジェクトは成功したと認められる。また、今後
についてはより小さく、柔軟な形態で、ICOTは継続されるべきであると考え
る。

2)W.Bibel(ダルムシュタット大学・独)

プロジェクトの成果を評価する際には、予算担当者としての立場、ジャーナリス
トとしての立場、経済学者としての立場などがあるが、私は科学者としての立
場から考えたい。

科学者の立場から見ると、一様な「論理」という枠組みを採用し、それに「並列」
を組み合わせている点に特徴があった。また、プロジェクトの前提として、論理
をべースにしたこと、システムを論理型マシンともいうべき専用機をもとに組
み上げた点などがあった。

3)K.Clark(インペリアル大学・英国)

本プロジェクトの持つインパクトとしては、国際的に人工知能や計算機科学の
分野に対する、A1vey,Esprit,MCC,ECRC,SICS他の発足において見られた
ような政府の投資を引きだしたこと、私たちの研究分野全体の地位や、人工知
能や論理型プログラミングの地位を高めたこと、日本において人工知能や論理
型言語の研究者を育成した点が上げられる。

一方、昨日のヘラルドトリビューン紙によれば、プロジェクトは失敗であったと
されているが、しかし、この記事の内容は誤ったものである。

本プロジェクトは、日本が誇るぺきものであるし、ソフトウエアの無償化は良
い考えであると思う。しかし、開発されたソフトウエアはより普及されている
並列計算機に移植されるべきであるし、ヘラルドトリビューンのような誤った
見方に対して、従来の言語よりも生産性、メンテナンスの容易さといった点を
応用プログラムの開発手法を作り上げることによって示すべきであると考える。

4)R.Feldmann(国立衛生研究所・米国)


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