【前へ】
(9)ネットワーキング及び情報技術研究開発(NITRD)法案
2001年度予算教書とは別に、IT2計画の強化継続策として、5年間というスパンで計画的に情報技術分野への政府支援を行うことを目的とした「ネットワーキング及び情報技術研究開発法(NITRD法:Networking and Information Technology Research and Development Act)案が、第106議会下院本会議に上程され、2000年2月15日下院を通過し上院に送付された。
この法案は下院科学委員会が提案したもので、1991年のHPC法を修正し、NSF、NASA、DOE、NIST、NOAA、EPA、NIHの研究開発支出を2000年度から2004年度までの5年間についてあらかじめ認可しようというものである。この法案の内容は次のようなものである。
|
(NITRD-1)
|
承認された予算のうちの一定額を、@情報技術研究センターへのグラントを含むネットワーキングと情報技術に関わる長期的基礎研究 A大規模研究設備の開発に関わるグラント B情報技術インターシップのグラント に振り分ける。
|
(NITRD-2)
|
2001年度と2002年度について、次世代インターネット計画に参加している機関の予算承認を行う。
|
(NITRD-3)
|
HPCに関わる諮問委員会に対し、@HPC、ネットワーキング、情報技術研究開発計画について、定期的な評価の実施を要請し、A調査結果やリコメンデーションについて、特定の議会の委員会に対して少なくとも2年に1回の報告を求める。
|
(NITRD-4)
|
NSFに対し、米国で輸出規制がかかっている暗号技術について、外国における入手可能性について比較し、議会に対して報告するよう求める。
|
|
-
- (注1)情報技術研究センター:6人以上の研究者が共同で行う大規模で長期的な研究プロジェクトを指し、1件当り500万ドルまでのグラントが与えられる。
- (注2)大規模研究設備:IT2で言う高度コンピューティングのためのテラフロップス級のスーパーコンピュータの研究と調達に対応するもの。
下院で承認された予算認可案を次表に示す。
|
-
図表2.16 「ネットワーキング及び情報技術研究開発法」案の予算認可案(単位:百万ドル)
|
FY2000
|
FY2001
|
FY2002
|
FY2003
|
FY2004
|
|
NSF
|
580
|
699.3
|
728.15
|
801.55
|
838.5
|
研究設備(注1)
|
70
|
70
|
80
|
80
|
85
|
NASA
|
164.4
|
201
|
208
|
224
|
231
|
DOE
|
60
|
54.3
|
56.15
|
65.55
|
67.5
|
NIST
|
9
|
9.5
|
10.5
|
16
|
17
|
NOAA
|
13.5
|
13.9
|
14.3
|
14.8
|
15.2
|
EPA
|
4.2
|
4.3
|
4.5
|
4.6
|
4.7
|
NIH
|
223
|
233
|
242
|
250
|
250
|
HPCC(注2)
|
1,124.1
|
1,285.3
|
1,343.6
|
1,456.5
|
1,508.9
|
|
DOE
|
25
|
15
|
15
|
−
|
−
|
NSF
|
25
|
25
|
25
|
−
|
−
|
NIH
|
7.5
|
0
|
0
|
−
|
−
|
NASA
|
7.5
|
10
|
10
|
−
|
−
|
NIST
|
7.5
|
5.5
|
5.5
|
−
|
−
|
NGI(注3)
|
72.5
|
55.5
|
55.5
|
−
|
−
|
NITRD計
|
1,196.6
|
1,340.8
|
1,399.1
|
1,456.5
|
1,508.9
|
- (注1)テラスケールコンピューティング実現のための研究設備開発助成金
- (注2)HPC法1991への修正値(2000~2004年度追加)
- (注3)NGIR法1998への修正値(2001,2002年度追加)
なおNIHについては、HPC法の205Aセクションとして今回新たに追加されたもので、バイオ医療及び行動科学研究での計算技術とソフトウェアツールの進歩と応用拡大が目的となっている。
またDODが含まれていないのは、科学委員会がそれらに関する立法管轄権を有していないからであり、国防委員会などとの連携が必要と説明されている。
|
【次へ】