「その文字で、俺の名前を書いてくれ」といってきた。いつもニコニコ現金払い、もとい、いつも気のいい僕は、
「喜んで」といって書いてあげた。カタカナで書いたけど、適当に漢字を当ててあげれば よかったかな。
しかし、ちらっとこんなことを考えたことも事実。
「どうせ、2度と会うこともないしー」感じの悪い人だったら、そうしてたかもしれない。
「何書いても解らないしー、えへっ(あくにん笑い)」
その次は、階段のとなりに座っていたおばさんとおねーちゃんが、
「どっから来たの?」とありがちな質問。
「いやー、日本からですよー」と、しばらくよくある会話がつづき、またも漢字の話になった。
「日本には、3種類の文字があって…」今、考えてみれば何でそんなことを聞かれたんだかよーわからん。ここで、で たらめを教えたら…とまた思ってしまった。いかんいかん。
「で、縦に書くことも、横に書くこともあることもあるんですよー」
とりあえず、絵はがきが書き終ったところで、となりの近代美術館にいってみ る。こっちは、結構またがらーんといてそうな雰囲気だった。
ちょうど、美術館の前4段ぐらいの階段に日本人らしき女の人が座っていた。 遠くからでも日本人を見分けるのは簡単だ。うまく書けないので箇条書にして みよう。
話は戻って、その女の人も地球の歩き方を見ていたわけだ。がらーんとしてい るから、面白いかどうかきいてみることにした。あとで話をしてたら、 29歳といってたけど、もっと若く見えて、結構きれーだった (旅行中見た人の中で1番綺麗だった)。
「ここどうでした?」うひー、なんでここにいるんだよーと思った。でも、これでは話が途切れてし まう。自然に、とりあえず話を繋ごうという意志が働いた。
「あ、ここ見てないんですよ」
「入館料が高くて、躊躇してるんですよ」とか、いって話をつなぐ、とりあえず、日本人が出てきたらその人に聞いてみ るということにして、しばらく待つことにした。
その間、話さないのも変なので、今までどこを見てきたとか、そんな話を聞いていた。 そのうち、僕の話になって、
「1日5000円ぐらいで旅行しようと思ってるんですけど、観光に金がかかって…。」なんて話していたら、
「今日なんて、昼は40円のパン1個ですよー、ははは」
「じゃあ、私がホットドッグおごってあげるわ」といわれてしまった。らっきー。結局、ホットドッグと7UPをおごってもらって、 そのあとも1時間ぐらい話して、 ぼくはそこを去ることにした。そのときには近代美術館のことはてっきり忘れてしま っていた。