8月29日(土) さぁて、帰ろう

サーキットから出て、来るときに降りたバス停まで戻る。まわりの雰囲気も来る ときとあまり変わらない。

バス停についたのが6:40。まぁ、田舎だからバスはそんなにこないだろうと思っ たので、とりあえず時刻表を見た。びっくり。 なんと、6:30のバスで今日のバスはおしまい。仕方がないので、少し不便だけど Spaの駅行きのバスに変更して、そのバスを探す。しかし、これも6:15 頃に終っ ていた。

しまったぁ〜〜。みんなノンキにうろうろしてるけど、こいつらは車で来ている のだった。大体、バスで来るというのが圧倒的に小数派のようだ。こんなクソ田 舎では、タクシーもない。鉄道の最寄り駅Spaまで8kmだ。

考えていても仕方がない、ぼわさんと2人でSpaの方向に歩き始める。横をびゅん びゅん車が通るので、ヒッチハイクでもしてみようと親指を立ててみるが東洋人 男 2人組に止まってくれるわけがない。せめて、女の子がいればどうにかなった かもしれないのだが。

8kmというと、2時間以内で着けるだろうという見積りで、どうにか日が暮れる前 にはSpaにたどり着くだろうと予測した、ただし道に迷わなければだが。 最初の 2km は、ずーーーーーーっと上り坂。あたり一面、「ふぃーるど」という感じの 草原が広がる。風がとてもさわやかで、座って景色を眺めていたいような、とっ ても綺麗なところだ。しかし、そんなことをしていると日が暮れて、いよいよ野 宿になりかねない。

2kmほどすすんで、Spaまであと6kmの看板が見えた。また、しばらく歩くと、

「Welcome to Spa」
という看板があって、農家が経営しているような感じの宿屋が2 軒ほどあった。 なんだ、 もう街のはずれに到達したかと楽観したけど、これも誤解。この2軒 以外家がない。

しばらくすると道路が下り始める。ここから道路は見える限り、まっすぐまっす ぐ何kmか先までのびている。そして、家、小屋、その手のたぐいのものは見える 範囲に1軒もない。ただ、道のずーっと向こうの方に、赤い光が2つぐらいみえた だけだ。

「あれって、きっと踏切ですよね、 だからあの辺までいけばなんかありそうで すね。」
と僕はいった。もう40〜50分歩いて、おまけにろくなもんをくってないため、お なかが減ってきたので、手持ちのポテトチップを2人で歩きながら食べた。

そのうちに、さっきの赤い光がだんだんはっきり見えてきた。でも、どうも踏切 ではないらしい。 さらに近付くと、なんとそこにあったのは、飛行場だった(う そみたい)。思わず、

「なにこれ……。」
しばらく、脱力感でやる気がなくなった。あとで、F1観戦ガイドのようなものを 見せてもらったら、確かに小さな飛行場があって、サーキットから5km のところ にあるそうだ。

閑散とした飛行場を通りすぎ、ずんずん進む。今度は、野原から森に入ってしま う。さっきの下り坂が始まってから、えんえん下り続けている。森に入ると、道 はぐねぐね曲って、ほんとに正しい道なのかなぁと疑いたくなったけど、間違え るはずがない。 サーキットからまだ1度も他の道と交わっていない1本道だか ら。

しばらく歩いてやっと森を抜けた。そこには、牧場があって、10頭ほどの牛がゴ ロゴロしていた。ちょうど夕暮れどきで、夕日がとってもきれいなオレンジ色だ った。そのうち、家も100mに1軒ぐらいずつ見えるようになり、僕たちは、 キャ ンプ場にたどり着いた。

キャンプ場の入口には、へんな小屋があって、管理人さんのような人がいた。そ の小屋にある地図をじーっとみて、あと、1kmぐらいでSpaの市街地に入ることが 解った。 Spaの駅は、進行方向、左側にすこしずれたところにあるということを 頭に入れて、そこを出た。しばらくまた道を下って行くと、やっとこさ市街地に 入った。本当に超地方の村程度の家並みだったが、その時は文明の香がしたよう な気がしないでもないような気がしたかもしれない(ひー)。そしてはじめての分 れ道があった…。


8月29日(土) Spa
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