プロトタイプ(PIM)へのアプローチ


第五世代コンピュータプロジェクトの大きな目標は、論理プログラミングに基づく知識情報処理に適した、コンピュータの基礎技術を開発することです。

プロジェクトの終わりまでに、1,000台規模の要素プロセッサを持つ並列推論マシンPIMと、並列オペレーティングシステムPIMOS、並列知識ベースシステム、および知識プログラミングソフトウェアから構成されるプロトタイプシステムを試作する計画です。

前期では、推論技術を逐次型マシンモデルの上で研究開発することとし、パーソナル逐次型推論マシンPSI-1を開発しました。PSIの機械語として、逐次論理型言語KL0と、システム記述言語ESPを設計しました。

1984年半ばには、論理型言語で記述された世界初のオペレーティングシステムSIMPOSが完成しました。マシン性能は、推論を単位とするLIPS(Logical Inference Per Second)としました。PSI-1は、35K LIPSでした。

効率よく小さくまとまった実行機構と言語処理系を設計し実装するため、世界のトップクラスの研究者と議論を重ね、前期終了の頃、簡潔な並列論理型言語GHCを設計しました。

中期に入り、GHCを基礎として、並列論理型言語KL1を設計しました。このKL1を用いて、並列オペレーティングシステムPIMOSの開発に取りかかりました。この開発にあたり、並列ハードウェアシステムの要素プロセッサとしても使えるPSI-IIを開発しました。

1986年、SIMPOS第二版とともに完成したPSI-IIは、330K LIPSの処理速度がありました。PSI-IIは、約300台製造されました。

並列ハードウェアシステムは、マルチPSIと呼ばれました。マルチPSIは、1988年に完成しました。マルチPSIは、5M LIPSを達成しました。

1988年に開催された第五世代コンピュータ国際会議(FGCS'88)で、マルチPSIとPIMOSは、その上で作られた評価用プログラムとともに展示され、好評を博しました。

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