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非正規関係モデル

 

関係モデルの欠点は、第1正規形という単純な形でしかデータを表現できない 点である。この改良提案が2つの面からからなされている。

  1. 従属性の考えは、更新による情報の欠落をなくすために提案されている ので、情報検索のデータベースのように更新を伴わないものは第一正規形でな くてもよいのではないか。
  2. 更新の不具合を防ぐ場合でも、多値従属性による関係の分割は必ずしも 必要ないのではないか。
前者は情報検索などの分野での考えを発展させたものであり、後者は1977年に 提案されたものである。Kappa のモデルはこれらを意識したものである。

たとえば後者の例は、表3を表4のようにではなく、 表5

  
表 5: 非正規型の表現

のようにすればごく自然な表現にできるというのが基本的な考え方である。

このモデルは一般的には

と定義できる。つまり、値が集合値を持っていたり属性が階層構造をなしてい るデータモデルである。このモデルの長所は、表現が素直にできること(表現 の効率性)、また関係の分割が少ないために結合演算が少なくてすみ、処理の 効率化が可能になる点である。

当初 non-first-normal-form (NF) relation とか、さまざまな名前で呼 ばれていたが、1986年に nested relation と呼ぶことでほぼ国際的なコンセ ンサスがとれたが、unnormalize relation と区別すべきだという意見も根強 くある。日本語では、nested に対する良い訳語がないために、「非正規関係 モデル」と呼ぶことが多い。本マニュアルでもそのように呼ぶことにする。