JIPDEC AITEC NEWS |
March 29, 1996 |
Issue #2 |
一雨毎に「春はもうそこ! (^_^)」と感じられる季節になりました。ハラ ハラと風がピンクに染まるのももうすぐですね! この時期、学生から社会人 になったり、新しい仕事に就いたり、新しい仲間を迎えたり、新しい計画を 立てたり、皆さま、新年度を迎えるに当たって、気持ちも新たになさってい ることと思います。 さて、我々の先端情報技術研究所も、昨年10月1日に新たに発足したことは 前回の AITEC NEWS 創刊号でお知らせした通りです。そこで「AITEC って、 どんなとこ、どんな研究所?」という、皆さまの疑問に答えるべく、今回この AITEC NEWS をお届けします。 但し、新研究所は、昨年 10 月に発足したとは言え、この春になってやっと 芽が出始めたばかりです。これから、大地に力強く根を張り、のびやかに枝を 延ばしていかなくてはなりません。そのためにも、丁度輝く太陽や恵みの水の ような、皆さまから暖かい眼差しやご声援を頂きたいと考えております。 そして新研究所が大きく成長した暁には皆さまと共に、大輪の華を楽しめる ようになれればと願っています。さて、その時、先端情報技術研究所はどんな 華を咲かせるのでしょうか。。。(^_^) (高橋 千恵) それでは、AITEC NEWS 第2号の Headline をお伝えします。
【AITEC-NEWS HEADLINE】
1. 先端情報技術研究所のご紹介
先端情報技術研究所の組織、メンバー、活動をお知らせします。 先端情報技術研究所の役割は、IFS (ICOT Free Software) の普及・育成の 事業と、先端情報技術の研究開発の技術調査事業の、2つです。IFS の普及・ 育成の事業は、昨年の新研究所発足と共にすぐに立ち上げられ、現在、先端 情報技術の調査事業の方が立ち上がりつつあります。そこで、今回は、IFS の普及・育成の事業を中心にお知らせします。
2. IFS委託研究成果報告会開催
3月11日(月)と12日(火)の2日間、平成7年度のIFS委託研究成果報告会が開かれ ました。 全22テーマの委託研究を実施していただいている、20の大学研究室の先生や学 生が一堂に会し、平成7年度の研究成果を発表していただき、活発な議論が行 なわれました。 IFS委託研究についてはこの AITEC NEWS 創刊号をご覧いただくとして、今回 は、この委託研究成果報告会の様子をご紹介します。なお、テーマの概要につ いては、こちらをご覧ください。
3. AITEC WWW ホームページ一新
先端情報技術研究所と、私達の仕事である「第五世代技術の普及」についての WWW ホームページを一新しました。どう変わったかは、ここでは申しません。 是非一度お立ちよりになり、ご自身の眼でご確認ください。URLは前と同じ、http://www.icot.or.jp/ です。今後も、各ページを随時新しくしていく予定です。 (該当記事なし)
【先端情報技術研究所のご紹介】
前回の AITEC NEWS でお知らせしましたように、先端情報技術研究所は昨年10 月1日に発足し、そのオフィスは、金杉橋の交差点に面した芝東京海上ビル(詳 しくは、http://www.icot.or.jp/GENE/way-to-AITEC-J.html を御覧下さい。)におかれました。 この研究所は、IFS (ICOT Free Software) の普及・育成の事業と、先端情報技術の研究開発の技術調査事業の、2つを行 なうことをその役割としています。 発足以来、まず、IFS の配布と保守、このための設備の整備、さらに、大学に 移った ICOT OB や、従来からご協力頂いてきた先生方への、IFS の改良や拡大 を研究委託する小プロジェクトの実施など、IFS の普及・育成事業の立ち上げ を行いました。現在、もう一つの役割である、先端情報技術の調査事業が立ち 上がり始めました。 英語名も、Research Institute for Advanced Information Technology、その 略称は、AITEC(アイテック)と決まりましたのは前回お知らせした通りです。 では、これから具体的に新研究所の組織とメンバーを簡単に紹介します。 まず、組織は、 +--- 第五世代普及振興部 --+------ 普及開発課 | | | +------ 振興課 | 所長 ---+--- 技術調査部 ----------------- 技術調査課 | | | +--- 総務部 --------------+------- 総務部 | +------- 経理課 となっています。 第五世代普及振興部は、ICOT から受け継いだ IFS の普及・振興を主な業務と しています。 技術調査部は、先端情報技術に関する調査研究を主な業務として、現在立ち上 がり始めています。次回の AITEC NEWS では、この辺のことをもう少し詳しく お知らせできるのではと考えています。 ですから、今回は第五世代普及振興部の、その役割とメンバー/仲間/強力な 助っ人を皆さんと関わりのあるところを中心に簡単に紹介します。 まず普及開発課は、IFS を具体的題材として、その普及と、普及のための開発 を行なっています。 皆さんと普及開発課を結ぶ、(IFS の)窓口を中鉢オリエ(*)が担当しています。 ICOT 時代からここ 2年ほど担当していますので、IFS にアクセスした方など、 「会ったことはないけど、メールをやりとりしたことがある」という方が沢山 いらっしゃると思います。今後とも IFS に関して、質問、要望など、何かあ りましたら、メールなら、 ifs@icot.or.jp まで、電話/Fax なら Tel: 03-3456-2514 (担当:中鉢(ちゅうばち)) Fax: 03-3456-1618 までお気軽にお問い合わせ下さい。 さて、IFS の目玉商品である KLIC は、保守を中心に討議し、一貫性のある KLIC 言語処理系を維持することを目的とする委員会 (主査: 東大近山先生、 KLIC タスクグループと言います) を設置しています。KLIC 言語処理系の直接 的サポートは、委員である藤瀬哲朗(*)、関田大吾(*)、g新部裕(*)を中心に、 他の委員の協力を得つつ行なっています。さらに講習会も行ない、普及活動も 積極的に行なわれています。ですから、皆さんの中にも上記の人達から KLIC を習った方も多いと思います。(今年度に行なわれた電気通信大学と東京理科 大での講習会の模様は、前回の AITEC NEWS でお知らせしました。WWW(電気通信大学,東京理科大)でも 公開しています。) KLIC の保守普及に関心のある方は fujise@icot.or.jp まで、KLIC 講習会に興味のある方、開催ご希望の方などは、 kaneda@icot.or.jp までメールで、電話/Fax なら Tel: 03-3456-2514 (担当:金田(かねだ)) Fax: 03-3456-1618 までお問い合わせください。 その他の IFS としては、法的推論システム new HELIC-II (詳しくは、 こちらを御覧下さい)を ICOT 時代から携わっている、大崎宏が担当しています。 現在はその保守と、HELIC-II をより魅力的なシステムとするための開発を 引続き行なっています。 MGTP(Model Generation Theorem Prover、 詳しくは 「IFS No.81、82、90、91、92」などを御覧下さい。) も ICOT 時代の MGTP のメンバーからなるタスクグループを開催し、それに 白井康之(*)が参加し、サポートを進めています。 遺伝子情報処理は、やはり ICOT 時代から携わってきた十時泰(*)、田中令子(*) が担当しています。 (詳しくは 「IFS No.93、75、76、83、94、95、96」などを御覧下さい。) 遺伝子情報処理は ICOT 技術の一つの大切な応用として、デモを様々なところ で行なってきましたので、十時のデモを御覧になった方も多いと思います。 Quixote (詳しくは、こちらの 「知識表現言語 Quixote's Page」を御覧下さい。) は、ICOT 時代に好運にもその誕生に立ち会った、高橋千恵が引続き担当して います。現在は、どのようにすれば、Quixote が成長していく環境を整えられ るかと日夜頭を捻っています。 そして、ICOT ではお馴染みの相場亮と、以前 ICOT の仕事をしたことがある、 ”出戻り”の金田喜代史が普及開発課の実働部隊を引っ張っていっています。 注: (*) は AITEC 職員以外を示しています(敬称略)。上述から、AITEC は、 ICOT から IFS の他に強力な仲間/助っ人も引き継いだことがお分かりに なると思います。また、今回は紙面の都合上、皆さんに関係の深い人達を 取り上げましたが、上記以外にも、ICOT 時代からのメンバー/仲間が引 続き AITEC をサポートしてくれています。 次に、振興課について紹介します。振興課は、IFS をベースとした先端的ソフト ウェアの拡大再生産による普及育成の方法を検討するのが仕事です。 今年度は、主に次の 2 つのことを行ないました。1 つは、IFS を改良したり、 それを利用したり、さらに発展させたりしたソフトウェアの開発をお願いする委 託研究です。もう 1 つは、IFS などの先端的ソフトウェアをオープンな環境で 開発し、コンペティティブな環境で拡大、再生産していくにはどのような体制が 必要かを模索するための、すでに国内外で実施されている研究公募プログラムに ついての実例調査です。 振興課には、茂呂知明、佐藤真紀子がいます。2 人とも IFS 自体には、AITEC に配属になってから関わりましたが、調査に関してはベテランです。 委託研究に関しては、今年度は 22 件お願いすることになり、3月11日と12日の 2日間、東京グランドホテルで研究成果発表会が行なわれました。テーマの概要 については、 こちら でご覧ください。その成果についても、今後 WWW で公開して行く予定ですので、 どうぞ御期待下さい。 又、来年度委託研究に興味のある方は、 moro@icot.or.jp までメールで、または Tel: 03-3456-3191 (担当:茂呂(もろ)) Fax: 03-3456-1618 まで電話/Fax でお問い合わせください。 以上、簡単でしたが、新研究所のメンバー/仲間/助っ人を説明しました。 しかし、実は、我々の仲間/助っ人は上記の人達だけではないのです。 ICOT から大学に移ったり、企業に戻った ICOT OB や、ICOT 時代から御協力 頂いている方々からネットワークなどを介して、様々な貴重な御意見やアイデ アを頂いています。この仕組みを整備し、ソフトウェアや関連データベースを 蓄積し、作業や会議の場を提供するとともに、情報交換、あるいは新研究所と 皆さんが互いに刺激し合い、互いの研究活動が活発化するような「仮想研究所 を設立しよう」という構想もあります。仮想研究所が立ち上がり始めたら、皆 さんにもう少し詳しくお知らせするつもりでおりますので、よろしくお願い致 します。 (高橋 千恵)
2. IFS委託研究成果報告会開催
3月11日(月)と12日(火)の2日間、東京は芝の東京グランドホテル芙蓉の間で、 平成7年度IFS委託研究成果報告会が行なわれました。 IFS委託研究についてはこの AITEC NEWS 創刊号をご覧いただくとして、今回 は、この委託研究成果報告会の様子をご紹介します。 3月11日(月)の午前10時に、報告会は 渕 IFS委託研究審査委員長の開会挨拶、 ついで内田 先端情報技術研究所長の趣旨説明からはじまりました。ひきつづ いて2日間で22件の委託研究成果が、各30分の発表時間で行なわれました。 報告会には常に50人近い参加者があり、質疑応答の時間には活発な議論が行な われました。比較的分野が絞り込まれることの多い学会研究会に比べ、並列推 論という共通基盤があるとはいえ、論理型言語の実装から自然言語、法律、遺 伝子と幅広い発表が次々と行なわれ、私自身ずいぶんと勉強になることの多かっ た報告会になりました。 皆さんの発表を伺っていると、それぞれの発表時間が30分ではすこし短く、せ めて45分とれればと感じましたが、こんどはそうすると報告会が3日間に渡る ことになってしまいます。今後は、全体の報告会だけでなく、分野別にもう少 し突っ込んだ議論の出来る機会が作れると良いのかもしれません。 報告会は、日本情報処理開発協会の市川常務による閉会挨拶で幕を閉じました。 来年度、平成8年度もこのIFS委託研究は募集致します。今回、平成7年度につ きましては、準備期間その他の事情で、以前からICOTと関わりのあった方々を 中心に募集いたしましたが、平成8年度は、広く皆様からの応募をお待ちして おります。 IFS委託研究に関しては、 moro@icot.or.jp までメールで、あるいは 03-3456-3191 (担当:茂呂(もろ)) まで、お気軽にお問い合わせください。来年度の皆様の応募をお待ちしており ます。 なお、最後に2日間のプログラムは以下の通りです。 3月11日(月) Opening Session 10:00 - 10:30 10:10 - 10:20 開会挨拶(渕 審査委員長) 10:20 - 10:30 趣旨説明(内田 先端情報技術研究所長) Session 1 10:30 - 12:00 10:30 - 11:00 KLICの実行時システムの改良・拡張 近山 隆 先生(東京大学) 11:00 - 11:30 KL1のゴール・スケジューリング最適化 中島 浩 先生(京都大学) 11:30 - 12:00 KL1プログラム開発支援ツール 上田 和紀 先生(早稲田大学) 昼食 12:00 - 13:00 Session 2 13:00 - 15:00 13:00 - 13:30 単一化に基づく日英文法の開発および 言語知識評価支援システム 松本 裕治 先生 (奈良先端科学技術大学院大学) 13:30 - 14:00 一般化LR法を用いた頑健な並列構文解析に関する研究 国藤 進 先生(北陸先端科学技術大学院大学) 14:00 - 14:30 KL1によるPROLOGの並列化に関する研究 古川 康一 先生(慶應義塾大学) 14:30 - 15:00 高速仮説推論システム 石塚 満 先生(東京大学) Coffee Break 15:00 - 15:30 Session 3 15:30 - 17:30 15:30 - 16:00 協調ロボットプログラミング言語/システム 溝口 文雄 先生(東京理科大) 16:00 - 16:30 帰納的な並列記号処理のためのプログラミング環境の開発 佐藤 泰介 先生(東京工業大学) 16:30 - 17:00 集合制約ソルバー 佐藤 洋祐 先生(立命館大学) 17:00 - 17:30 並列処理による低電力LSI用シリコンコンパイラ 瀧 和男 先生(神戸大学) 3月12日(日) Session 4 10:30 - 12:00 10:30 - 11:00 膜タンパク質立体構造予測のためのタンパク質判別・ 二次構造決定システムの開発と公開 美宅 成樹 先生(東京農工大学) 11:00 - 11:30 並列論理型言語を用いた最尤法による 分子進化系統樹作成プログラム 国藤 進 先生(北陸先端科学技術大学院大学) 11:30 - 12:00 演繹オブジェクト指向データベース言語Quixoteの 実用化のための拡張機能の研究 横田 一正 先生(京都大学) 昼食 12:00 - 13:00 Session 5 13:00 - 15:00 13:00 - 13:30 KLIC上のMGTP処理系 長谷川 隆三 先生(九州大学) 13:30 - 14:00 高度問題解決のための推論プログラムの開発 井上 克己 先生(豊橋技術科学大学) 14:00 - 14:30 制約MGTPによる知識表現と自然言語処理への応用 雨宮 真人 先生(九州大学) 14:30 - 15:00 KLICによる並列アクティブデータベース処理の実現 横田 治夫 先生(北陸先端科学技術大学院大学) Coffee Break 15:00 - 15:30 Session 6 15:30 - 17:30 15:30 - 16:00 異種分散協調問題解決系Heliosの協調作業への応用の研究 横田 一正 先生(京都大学) 16:00 - 16:30 EDR辞書を用いた日本語解析ツール 田中 穂積 先生(東京工業大学) 16:30 - 17:00 ゴールに依存した抽象化を用いた法的推論の研究 原口 誠 先生(北海道大学) 17:00 - 17:30 KLICの視覚的インタフェースに関する研究 田中 二郎 先生(筑波大学) Closing Session 17:30 - 17:40 17:30 - 17:40 閉会挨拶 市川 (財)日本情報処理開発協会 常務 (相場 亮)
[編集後記]
以上、AITEC NEWS 第2号、如何だったでしょうか? 皆さんのお手元にお届けするこの AITEC NEWS は、今後 AITEC の活動のうち、 フォーマルな活動報告は勿論、皆さんが興味を持つようなイベント情報や インフォーマルな話題も取材してお知らせしようと考えています。どうぞ、 今後とも AITEC NEWS の送付を楽しみにお待ち下さい。 いや、待っているだけではなく、「AITEC のこんなことが知りたい!」など ご意見、ご感想、ご要望などありましたら、メールを aitec-news@icot.or.jp までお気軽にお寄せ下さい。それと、新年度から今日お届けしたアドレスに 変更がある方などもお知らせ下さい。 また、近くにお寄りの際には、今回ご紹介したように、AITEC は ICOT と 変わり映えはないかもしれませんが、お馴染みの顔が並んでいますので、 お気軽にお寄り下さい。ICOT と同様、新研究所が引続き皆さんに御愛顧 頂けるよう、お見知りおき下さいますよう、よろしくお願い申しあげます。 ☆ *****************************************************************☆ * * * A I T E C N E W S Issue #2 * * 編集・配布 AITEC NEWS編集グループ * * 佐藤真紀子 高橋千恵 相場 亮 佐藤 博 内田俊一 * * * * 発行 1996年 3月 29日 * * 財団法人 日本情報処理開発協会 * * 先端情報技術研究所 * * 東京都港区芝2丁目3番3号 芝東京海上ビル2F * * 電話: 03-3456-3191 FAX: 03-3455-4877 * * e-mail: aitec-news@icot.or.jp * * * ☆ *****************************************************************☆