第五世代コンピュータ技術とは?

この説明を補足する図面はこちらにあります。


第五世代コンピュータとは、
  1. 知識情報処理と
  2. 大規模並列処理技術
という、コンピュータ科学を代表する二つの重要な新技術を、並列論理型言語 という新しいプログラミング・パラダイムを用いて結び付けることで生み出さ れる革新的なコンピュータ・システム とその技術体系であると位置付けることができます。

このようにして生まれるコンピュータ技術は、将来のコンピュータの重要な応 用分野である知識情報処理技術を発展させるものであり、急速に進歩する半導 体技術を十分に活用できるものと考えられました。

このような基本構想に沿って研究開発の行われたソフトウェアおよびハードウェ アの技術体系と、これらを統合して得られた第五世代コンピュータ・プロトタ イプ・システムが、現在第五世代コンピュータと呼ばれているものです。

ICOTを中心とする10年余りにわたる研究 開発の結果、第五世代コンピュ−タ・プロジェクトは当初の目標を達成し、 平成4年(1993年)に成功のうちに終了致しました。そして、1000台規模の並列 推論マシンと並列論理型言語KL1を核とする第五世代コンピュ−タ・プロトタ イプシステムを完成させ、第五世代コンピュ−タ技術を確立しました。

このプロトタイプシステムは、知識 処理に適したコンピュ−タとしては、世 界で最高速、かつ、最大規模のものです。このシステムは、並列推論マシ ン(PIM)と呼ばれる大規模な並列ハードウェアシステムを持っております。PIM は、512台の要素プロセッサからなるPIM/pや256台の要素プロセッサをもつPIM/mなど5つのモデルが作られました。

これらのPIMの上に、並列論理型言語KL1のための、極めて生産性の高いプログラミング環境 が構築されました。これは、新しく強力な並列プログラムのデバッグや動 作のモニタリングのた めのツールが提供されました。

このようなプログラミング環境を利用して、いろいろな新しい知識処理の応用システム が開発されました。これらの多くが、PIMの能力をフルに利用しており、 要素プロセッサの台数に比例した処理速度の高速化を達成することができまし た。例えば、並列定理証明システム MGTPは、256台の要素プロセッサを用いて、 約220倍の高速化を達成しました。

第五世代コンピュ−タ・プロジェクトの終了後、2年計画の 後継プロジェクトである「第五 世代コンピュ−タの研究基盤化プロジェクト」が行なわれました。

この後継プロジェクトは、2年計画で、KL1プロラミング環境、および主要なソ フトウェアシステムを、UNIXベースの逐次型、および並列型のマシン上に移植 し、広く普及させて、第五世代コンピュ−タ技術を将来の先進的なコンピュ− タ開発の、新たなインフラストラクチャ とすることを目指しました。

後継プロジェクトにおける成果については、「こちら」をご覧ください。