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第五世代の並列記号処理技術の意義

従来の並列コンピュータシステムの研究開発は、定型的な数値処理が必要な分 野を主たる問題領域として設定して進められてきた。その結果近年では、この 分野については逐次型を基本とする処理方式に取って代わらんとする勢いを示 している。しかし、非定型的な処理を必要とする記号処理についての並列処理 の研究開発は、第五世代プロジェクト以外では多くの努力を払われてこなかっ た。このため、記号処理が必要な応用分野の研究開発については、逐次処理方 式を取り続けてきたため、計算処理速度の壁にぶつかって十分な進捗が得られ ない局面も多くなってきた。

第五世代の技術は世界に先駆けて並列記号処理技術体系を確立し、実験的な応 用システムを通して、その有効性を実証的に示した。この並列記号処理技術は、 将来発展が見込まれる本格的な大規模知識情報処理に必要な、並列処理の容易 な記述と十分な性能とを提供する、欠くべからざる基礎技術となるものである。 これはまた、数値処理等の他分野に応用しても、新たな技術展開の基礎となり 得る技術である。