FGCSプロジェクトの評価に関する報告
Wolfgang Bibel
Technical University Darmstadt
Germany
1992年6月4日
・適切な新しい研究目標を達成する。
システムの保守管理は、MITIの政策ですべてのソフトウェアを自由に使用できるもの
として開放するという点から非常に重要である。この政策は、国際協調にもたらす効果を考
えると画期的な一歩である。もちろんこの政策は、そのソフトウェアがPIM以外の標準的
なマシンで使用可能となる場合にのみ実を結ぶものである。しかし私の理解によれば、すで
にソフトウェアをUNIX環境に移植する計画がある。
現在ICOTを指導しているスタッフに移動があるようである。ここで、このプロジェク
トの成功に大きく寄与した研究所長の淵博士のことを特に強調しておきたい。私は、個人
的な研究目標のために時間を取りたいという彼の望みを十分に理解している。にもかかわら
ず彼の才能を今以上に壮大な計画で役立てないとしたら、それは悲しむべきことであると思
う。
基礎研究の遂行に成功したことで高い評価を得たことから、日本に基盤をおく基礎科学
の研究機関の考えが私の心に浮かんでいる。この機関は、世界中の研究者を親密に結び付け
る上で、現在ICOTが果たしている役割の一部を受け継ぐことができると思う。それは、
世界中から第一線の研究者たちが集う場である。ついでに述べると、このような性格を持つ
研究機関は、環境的に魅力のある地に置くのがよいと思う。
すでに指摘したように、私は、純粋に論理的なマシンおよびソフトウェアに向かって、
重要なただし最終ではない一歩がKL1によって踏み出されたと確信している。この同じ方
向で次の一歩を踏み出すには、ロジックにおける新しい方向(リニアロジックなど)を考慮
に入れる必要がある。私は、従来のソフトウェア作成上の問題から、他のコンピュータ科学
者たちも、最終的には論理を中心とした計算処理と知識工学分野というFGCSプロジェク
トと同じ方向に向かって来ると確信している。
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