(20) KLICによる並列アクティブデータベース処理の実現
研究代表者:横田 治夫 助教授
北陸先端科学技術大学院大学 情報科学研究科
- (1) 研究テーマ
- KLIC による並列アクティブデータベース処理の実現
- (2) 研究進捗状況
- 関係データベース演算やアクティブルール発火を並列実行し、クラ
イアントの SQL インタフェースをサポートする、並列データベース
管理システムのプロトタイプを、KLIC によって実現することを目的
として研究を進めている。以下に、a) SQL クライアント、b) 並列関
係データベース演算実行、c) 並列トランザクション管理、d) 並列ア
クティブルール発火、e) 耐故障化、に分けてその内容を簡単に記す。
a) SQLクライアント
KL1 で標準的な SQL コマンドを関係代数の問い合わせ木に変換し、
サーバに送る部分については、ほぼ完成している。
b) 並列関係データベース演算実行
現在、B-Tree で構成したデータを水平分割して、並列実行する部
分を実現しているところである。
c) 並列トランザクション管理
KL1 の変数バインドによるサスペンドを有効に利用したロック管理
とデッドロック検出機構の部分の実現を行なっているところである。
d) 並列アクティブルール発火
C で実現した並列プロダクション実行管理の部分を KL1 によって、
アクティブルール発火に利用する方法を検討しているところである。
e) 耐故障化
Instant Replay の手法を Primary/Backup アプローチに適用した
方法を提案し、オリジナルの KL1 プログラムを耐故障化するコンバー
タを KL1 で実現しているところである。
- (3) 現在までの主な成果
- 関連のある論文のリストを以下に示す。
- 横田治夫,荒井竜一,「メッセージ通信に基づく並列トランザクショ
ン管理」,情処学会研究会報告,データベースシステム,104-14,
1995.7. (電子情報通信学会 データ工学研究会共催)
- 宮崎純,横田治夫,「二つの負荷分散機構を組み合わせたプロダク
ションシステムの 並列化方式」,信学論(D-I),Vol. J78-D-I,No.5,
1995.5.
- 宮崎純,横田治夫,「分散メモリ型並列プロダクションシステムに
おけるメモリノードのソフトウェアキャッシュ効果」,信学技報,
AI95-14,1995.8.
- Sugino, E. and Yokota, H. "Fault Tolerant Software in
Parallel Logic Programming Languages", JAIST Research Report,
IS-RR-95-0024A, 1995.12.
- (4) 今後の研究概要
- 並列関係データベース演算実行、並列トランザクション管理、並列
アクティブルール発火、耐故障化、について更に実現作業を進める予
定である。
- (5) 今年度目標成果(イメージ)
- nCUBE2 および SUN 上で動作する、簡易版の並列アクティブデータ
ベースシステムを公開できることを期待している。機能的には、SQL
クライアント、並列データベース演算実行の一部、並列トランザクショ
ン管理の一部を含めることができるものと思われる。それ以外の部分、
特に並列アクティブルール発火、耐故障化については次年度以降にな
る予定である。
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