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第4章 米国の連邦政府R&D計画における省庁間の役割分担と連携の仕組み

4.2 調査の枠組み

 こうした論点をマクロとミクロの両レベルで検討するために、今回の調査では、3つの視点から成るアプローチを使用する。

 第一に、米国の研究開発の機構全般を概観するために、調査の背景となる枠組みを設定する。その際は、特に、連邦政府のさまざまな助成組織と、省庁間の調整活動のために設けられた管理構造を中心として考察する。この視点を通じて、どのような要因が (内部と外部の両方の要因を含めて) 省庁間の連携を推進し、どのような要因が阻害するのかを、より明確に理解することが可能になる。

 第二に、マクロ・レベルで、連邦政府がコア・テクノロジーの開発で果たしている独自の役割、すなわち、大学における基礎研究を立ち上げ、産業界の参加を促し、そうした研究活動が実を結ぶように (つまり、市場化されるように) 導く、という役割に注目して分析を行う。複数の機関が (同時期に、あるいは異なる時期に一定の期間にわたって) 共同研究に参加することによって形成されている技術革新システムを、本調査ではイノベーション・パイプラインと呼んでいる。

 第三に、省庁間プログラムの細部をミクロ・レベルで検討するために、情報技術 (IT) 分野を詳しく取り上げる。ITは、2004会計年度の予算請求も含めて、過去10年近くの間、常に最優先の省庁横断研究開発イニシアチブの1つとして扱われてきた。情報技術研究開発は、おそらく、過去10年間で、最も順調に発展し、最も適切に運営されてきた省庁間イニシアチブの1つであり、調整と連携の複雑さに伴って発生するすべての課題を具体的に示してくれる事例でもある。

 

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