米国における最近のIT重点分野に関する調査
バイオテクノロジーは、どのような基準に照してもすでに極めて将来性の高い活気に満ちた分野となっている。Ernest & Youngによる2000年5月の報告書によると、バイオテクノロジー産業は近年急成長を遂げ、その規模は1993年から1999年までの間に倍増している。この成長の大部分は、薬品、農業、環境に関連して現在研究と開発が進められている製品から生じるバイオテクノロジーの潜在的可能性に起因するものである。この数年、バイオテクノロジー産業は米国経済に大きく貢献してきた。1999年には、バイオテクノロジー産業は以下の成果をもたらしている。
皮肉なことに、このような成果は、その重要性にもかかわらず1990年代に情報技術(IT)産業に注がれたような注目を集めるには至らなかった。その間、世間の熱い視線はもっぱらコンピュータ、インターネット、マルチメディアに注がれていた。1つの問題点として、バイオテクノロジー産業全体が、長い間存続していながら依然として利益を上げられていないことがある。外部の人たちはこの産業を疑いの目で眺めており、今後も、ジェットコースターのような浮沈の激しい先行きが続くと感じている。そして、国の経済に対する財政的な貢献という面では実際は非常に小規模であり、やはり小規模な産業であるIT産業と比べても規模は下回っている(IT産業も高々7〜8%にすぎないが、商務省によれば、IT産業はピーク時の1998〜1999年には雇用規模の増加率で30〜40%を示した。)
しかし、このような小規模で力強さに欠ける産業というイメージは変わろうとしている。今日、バイオテクノロジーは、米国経済を新たな成長へと導き、社会に現実の利益をもたらす次代の重要な分野として、情報技術(IT)のお株を奪おうとしている。このITへの挑戦の大半は、バイオテクノロジー自体に内在している自己変革能力に由来している。コンピュータ、ネットワーク、データベースなどの技術を利用することによって、バイオテクノロジーのほとんどすべての領域で研究開発プロセスが全面的な変革を遂げたのである。このパラダイム・シフトを原動力として、この分野は、コア・ビジネスを再定義し、専門領域の守備範囲を拡大し、5年前や10年前には想像さえできなかった方法で関連分野との相互関係を強化することになった。さらに、このような変革を遂げる中で、バイオテクノロジーは、情報処理とその関連分野における研究にも変化の種をまいてきた。したがって、今後数年のうちに、バイオテクノロジーにおける新しいパラダイム・シフトが、バイオテクノロジーの変化を促した分野を変化させる原動力になる可能性もある。