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4. IT研究開発重点分野テーマ例

 前章では、わが国のIT技術強化の課題として、IT技術の産業・社会への適用において先行した国々にキャッチアップして行くこと、および同時に将来に向けて中長期的な見通しで研究開発を進める必要があることを述べた。また、具体的に展開する方策として、応用に向けての方向づけを持った「アンブレラ領域」を設定し、その中で需要条件等を重視し、プラットフォーム/コンテンツ/ユーザインタフェースの技術をセットとして開発して行くことを提案した。さらに、アンブレラ領域の推進が、IT産業の強化、新産業の創生、人材育成などの波及効果を持つようにするための留意点を列挙した。
 本章では、研究開発重点分野のアンブレラ領域の例を二つ挙げる。二つの例は前章の趣旨を具体例に則して説明するためのものであるが、それら自体、テーマとして重要と思われるものである。
 一つ目の「電子政府」は、ミレニアム・プロジェクトおよびe-Japan基本計画における重要課題の一つとして取り上げられており、既に推進中である。ただし、現状の計画はキャッチアップ型の短期的な整備計画に留まっている(ミレニアムプロジェクトでは2003年度を目標)。アンブレラ領域として取り上げる電子政府では、中長期的な研究開発課題を設定し、またIT産業強化など波及効果への配慮を含める。これにより、IT産業強化、将来的に世界的にも進んだ電子政府の実現を目指す。
 二つ目の「ユビキタス社会実現のためのメディア変換技術」は、今後本格化して行くであろうユビキタス社会への歩みを進める上で重要な課題の一つとして取り上げる。同一のコンテンツが、様々な産業・社会・生活の場において、多種多様なプラットフォーム上に展開される際に、コンテンツの意味を損なわない変換が必要になってくる。既に、長いテキストを要約する技術、Webコンテンツを音声で読み上げる仕組み、携帯電話の小さい画面上に圧縮して表示する技術などの要素技術が生まれつつある。アンブレラ領域としては、それらを総合的なコンテキストで扱う。

 

4.1 研究開発テーマ例1: 電子政府

(1) 背景・目的
a) 電子政府とは何か
 電子政府とは、業務・サービスが情報化・ネットワーク化された行政の姿をいう。(以下、特に断らない限り、中央政府、地方自治体を含めて、「行政」と呼ぶ。)
 インターネットが爆発的に普及し、企業がポータルサイトを立ち上げ、ネット上のショッピングが始まった1995年頃から、行政機関がポータルサイトを立ち上げ、さらに行政サービスをネット上で行なえるようにするという電子政府の考え方が普及してきた。先進各国の行政機関では1970年代、1980年代を通じて、住民データの管理などの内部業務・窓口業務向けの情報システム構築が進められてきたが、電子政府はさらにそれを発展させ、利用者が窓口を介さずにネット上で直接にサービスを受けられるようになることを目指している。これは利用者にとって、窓口に出向き、列に並ぶという手間が省けるという利便性の向上があり、また行政側にとっては窓口業務量の低減によるコスト削減が期待できる。
 また、電子政府は、情報発信・情報公開、申請・届出等手続きの電子化に留まらず、行政改革やサービスの高度化の戦略的手段と認識されている。

b) 電子政府の具体的内容
 米国、EU、シンガポールなど情報先進各国では、中央政府や州政府等の地方自治体において、電子政府に本格的に取り組みつつある。わが国でも行政情報化基本計画(1997年)、ミレニアム・プロジェクト(1999年)、e-Japan基本計画(2001年)などで、電子政府の推進が打ち出されている。それらに見る電子政府の具体的内容は以下の通りである。

c) アンブレラ領域としての電子政府
 電子政府は、応用領域として見た場合、国家的な重要性が明確であり、産業・社会への波及効果も大きく、アンブレラ領域としての要件を満たしている。また、電子政府をIT技術開発の観点で見た場合、大規模かつ複雑な多くのソフトウェア開発を含み、後述するような技術的課題があり、それらの課題の知的な解決はIT技術の高度化をもたらす筈である。また、電子政府の構築はIT産業への大きな需要をもたらす。しかも、その需要力行使の仕方を行政がコントロールできる。したがって、適切な行使によりIT産業高度化につなげることが可能である。
 このように電子政府は、国が推進するアンブレラ領域として求められる諸条件を具備している。

 

(2) 研究開発サブテーマ
 
電子政府実現の短期的な目標は、既存の行政組織内の情報システムを前提とした電子的サービスの実現であろう。個々の府省庁、地方自治体におけるポータルサイト構築、申請・届出等手続きのインターネット化などである。また、インフラとして、中央・地方を結ぶ高信頼ネットワークの整備、認証基盤の整備などが課題である。これらは、行政情報化推進基本計画 (1997年)やミレニアム・プロジェクト(1999年)などで具体的目標が設定され、推進されている。直近の次なる課題として、複数行政機関にまたがるワンストップサービスの実現があろう。
 中長期的には、個々の行政組織内の情報システムの統合・再構築、複数行政機関の間の密な連携(データ統合、連携処理など)による、さらなる行政機能の効率化が課題となる。さらに、電子情報公開、行政評価・政策評価、中央・地方財政の連結評価、政策決定・実施プロセスの改善など、近年必要性が認識されている諸課題に対応するものとして電子政府を設計して行くことが重要課題となろう。
 また、企業・国民・住民一般を対象とするという行政の特性に対応したユニバーサルデザインの研究、行政における多様なコンテンツ(情報、データ)の統合など、より研究的な課題が設定し得る。
 以下、行政組織内の情報システムの統合・再構築、複数行政機関の間の密な連携の実現に関連する主な技術課題を例示する。

a) アプリケーション統合
 現状、行政組織内で個別に開発され、十分な連携がなされていない既存の情報システムをシームレスに統合し、さらに新しいニーズに対応した全体システムを再構築して行くことが求められる。それを個別対応でなく、体系的な方法論で行うことが、投資効率上も技術発展上も望ましい。
 一つの考え方としては、様々なアプリケーションを包含し、それらが連携できるような「アプリケーション統合アーキテクチャ」を設計することである(図参照)。そこでは、データの標準形やアプリケーションとのインタフェースなどを規定する。既存のカスタム・アプリケーションやパッケージ・アプリケーションは、「アダプタ」を介して組込まれ、新たなアプリケーションやパッケージは標準インタフェースを備えるようにする。

b) 大規模・広域分散システム
 個々の行政組織内部的な統合とともに、複数行政組織の連携が必要となる(全国的住民基本台帳システム、様々なワンストップサービスなど)。最終的には、中央府省庁、各地方自治体などの自律システムが緩やかに結合した大規模な広域分散システムとなると思われる(図参照)。そこにおけるデータの統合、処理の連携などの枠組、信頼性の保証などが課題となる。

c) システム発展
 行政機構・サービスの変化、新たなニーズの発生を前提とした、柔軟に進化して行けるシステムを構築すべきであり、その際の個々のソフトウェア発展のあり方、全体的な整合性の確保、変化の中での信頼性の保証などが課題となる。

図表 アプリケーション統合

 


図表 大規模・広域分散システム

 

(3) 研究開発の進め方
 第3章に述べた施策展開のポイントにしたがって、電子政府の実現および研究開発を進めるに際しての要点をまとめる。短期的目標は既に国レベルで設定され、推進中であるため、中長期的な方針を述べる。

a) 中長期的なビジョン・目標の設定
 行政改革、電子情報公開、行政評価など行政における課題解決の手段としての位置付けを明確にした中長期的なビジョンと具体的な目標の設定を行なう。また、継続的に需要側(=行政)のニーズの変化を反映できるような仕組みを組込む。

b) 中長期的な技術課題の同定と取り組み
 中長期的なビジョン・目標を実現するための、大きな技術課題を同定し、また、より研究的な課題を具体的に設定する。(想定される幾つかの技術課題は前段で述べた。)個々の課題、総合的な課題について、適切な枠組の中で研究開発を推進する(解決技術の競争的募集、公募型研究、ワークショップ開催、電子政府技術指導機関設置など)。

c) ソフトウェア産業への影響
 電子政府の構築がソフトウェア産業への大きな需要をもたらすことに鑑みて、わが国ソフトウェア産業の高度化を導くような導入・調達の方法を検討する。例えば、従来のようなカスタムメードのシステム開発委託でなく、上記のような標準体系を関連を持たせながら、完成度の高いミドルウェア体系の整備を促し、それを各自治体、行政機関へと展開させることを誘導する。(優秀な設計者・開発者による優れたパッケージの開発、優秀なSA、SE による現場へのカスタマイズという形を要求する。)

d) 人材育成
 技術開発の具体的取り組みの中で、第3章で述べたような、プロジェクトリーダクラスの人材が育つような配慮を行う。また、現場レベルにおいても、IT技術の現実課題への適用の諸場面における優秀な人材が育つよう、システム導入後の適切な運用、利用、継続的改良が保証されるように、優秀な SE による適切なメンテナンスを要求し、それに対する十分な対価を支払うものとする。(それにより、ITベンダにおける人海戦術から技術力への変化を要求。)

 

(4) 波及効果
 
電子政府は、行政の効率化・行政サービスの高度化、電子政府関連技術開発の他、次のような波及効果が期待される。

a) デジタル社会移行の促進
 行政サービスが基本的に全企業・国民・住民を対象とすることは、それが社会全体のIT化への移行を促進するための道具として利用できることを意味する。

b) IT他分野への波及効果

 電子政府に関連して研究開発され、基盤整備されるセキュリティ、大規模分散システム、データ統合などの技術課題の多くは、他分野への転用が可能である。また、中長期的に研究開発されるプラットフォーム、コンテンツ、ユーザインタフェースの技術も電子政府の規模や利用者の多様性の故に汎用性を持つ。

 

4.2 研究開発テーマ例2: ユビキタス社会実現のためのメディア変換技術

(1) 背景・目的
a)アンブレラ領域としてのユビキタス社会
 ユビキタス社会、すなわちコンピュータや情報機器とそれらを接続するネットワークが生活のあらゆる局面に遍く存在する社会のイメージは、来るべき未来社会の姿としての文脈で語られてきた。確かに、壁や扉・電化製品などの環境にコンピュータが網羅的に設置され、個人を数千ものコンピュータが取り巻いて、最終的には人間の心を読むインタフェースが実現されるかも知れない姿は未来社会そのものである。しかし、携帯電話やPDA、デジタルテレビ、マルチメディアキオスク、カーナビなどの情報機器が広範囲に普及し、IPv6ベースのインターネットが進展しつつある現在、未来は遠くないとの予感がある。
 ユビキタス社会実現のためには、ネットワークや情報機器(プラットフォーム)、情報機器間でやり取りされる情報そのもの(コンテンツ)、さらにはシステムの使いやすさ(ユーザインタフェース)がいずれも極めて重要なファクタになり、しかも各要素が相互に連携して全体として一体的な環境を形作らなければならない。こうした要請は3章に述べたアンブレラ領域設定の必然性の好例であり、ユビキタス社会に向けての技術開発には大きな意義がある。
b)ユビキタス社会とメディア変換技術
 天文学的な量と多様な形態の情報が行き交うユビキタス社会を多くの人々にとって居心地良いものにするための一つの技術的ポイントがメディア変換技術である。すなわち、社会に遍在する情報機器の間で飛び交う情報が送り手、受け手(必ずしも人間ではない)の双方に取って理解しやすくまた扱いやすいものであることを保証し、同時に、膨大になるであろう情報を質量ともに可能な限り圧縮する必要もある。本格的なユビキタス社会の到来を前に、このような技術はこれまでのところ個別的な局面でテンポラリに開発されている場合がほとんである。
 例えば、インターネットによって情報発信者とエンドユーザとが直接結びつくことで脱仲介現象が進むと考えられていた電子商取引市場で、インフォメディアリ(Infomediary = Information + Intermediary)と呼ばれる新たな情報仲介機能が市場活性化のための必須要件として注目を集めている。インフォメディアリに期待される機能は、売り手と買い手の間に立ってそれぞれが必要としている情報を抽出し付加価値をつけて提供すると言う、一種のセマンティックな情報の変換である。
 また、マルチメディア技術の本格的普及に呼応して、メディア間にまたがる情報の変換技術の研究も盛んである。例えば音声メディアで表現された情報を文字メディアに変換する、あるいは図形メディアの情報を画像メディアとして表現し直すなどの技術である。
 このように、個別的需要に対応して要素技術として多くの萌芽が見られるメディア変換技術の研究開発を、快適なユビキタス社会の実現に向けて相互に連携させ、かつ最終的な目標を明確に意識した形で展開することが本テーマの狙いである。

 

(2) 研究開発サブテーマ
 ドキュメント、図形、音声などの多様なメディア間にまたがる情報の変換技術の概念を下に示す。


図表 メディア間にまたがる情報の変換技術

 各メディアで表現された情報は、認知・理解のフェーズで情報の持つ意味内容が認識され、それに対して一定の処理が施された後、別のあるいは同一のメディア上の情報として再び創作あるいは生成されると言うプロセスになる。メディア変換技術を実現する上での技術的な困難さは、この一連のプロセスに内在している。特に、情報の認知・理解のフェーズは、主としてパターン的な情報をシンボル化、概念化することに相当し、この意味で情報の量を減少させることになるが、一方新たなメディアの上に情報を表現しなおすことはシンボル情報からパターン情報を作り出すことになり、情報の量を増大させなければならない。したがって、情報の創作は認知・理解に比較して自由度が大きく、適切なメディア表現を実現することは相当に困難と考えられる。
 メディア変換を人間の認知活動の一環として捉え、これを忠実にシステム化することは人工知能技術のテリトリであり、基礎研究に近いアプローチとなろう。具体的な研究開発対象は例えば以下のような技術である。

もう一つのアプローチは、必ずしも人間の認知プロセスを厳密にモデルにしたものでは無く、言わばメディア間の変換規則を何らかの形であらかじめ作成しておくことによって、あるメディアの情報を別のメディア上に変換するものである。このアプローチは情報の「セマンティックな変換」と言うより「シンタクティックな変換」に近づくものの、興味深い点は、タンジブルインタフェースの研究などに見られるように、こうしたアプローチであるが故にこそ発想でき、また実現できる機能が存在することである。メディア変換が必ずしも人間のやり方を理想的なものとして考える必要の無いことが示唆されている。具体的な研究開発対象技術の例は以下の通りである。

 

(3) 研究開発の進め方
 メディア変換技術の研究開発は単に要素技術の進展を企図したものではなく、ユビキタス社会構築の一環として行われる。したがって、研究開発の進め方について以下のような留意が求められる。

a) 需要条件の重視
 ユビキタスの進展は社会のありようを大きく変貌させる。個人、家庭、コミュニティなどのパーソナルな生活環境から職場、学校、医療、行政サービスなどの公的環境に至るまで広大な空間がネットワークと情報機器で接続される。この結果、「公」と「私」の境界の不分明化、「個」と「組織」の関係の多層化などが進むであろう社会環境で、どのような需要が発生し、大きく広がって行くかを事前に正しく想像することは困難である。近年のIT関連産業はシーズが主導して新たな市場やニーズが切り開かれる傾向にあることと相俟って、壮大な社会的実験とも言えるユビキタス社会への展開の中で需要条件や市場の成長を先取りし、あるいは連動した技術の開発が求められる。

b) 関連産業・支援産業を含めた政策連携
 ユビキタスに向けて進展する社会を構成する技術・産業は、メディア変換技術を中核としてコンピュータや携帯電話、PDA、情報家電、記録メディアなどの情報機器を中心としてセンサー、制御システム、広帯域ネットワーク、モバイルネットワーク、コンテンツ、など極めて多岐に亘る。この中にはビデオゲーム、カーナビ、携帯電話、さらには組み込み型システムなど日本が独自の強みを発揮している分野があり、こうした関連産業・支援産業を包含した技術開発・商品化によって世界市場で優位な地位を築くことが可能である。つまり、ユビキタス社会に向けての研究開発は現在のIT市場で米国に大きく水をあけられた我が国が再び競争優位を確立する道にもつながることが期待される。

 

(4) 波及効果
 メディア変換技術はユーザインタフェースをその代表的な領域としているものの、実体的には情報処理のほとんどあらゆる局面に関っていると言って良く、その影響する範囲は技術的にはもちろん、それが創造しあるいは影響を及ぼす応用分野・市場は極めて広い。

a) 人材育成
 メディア変換に関する研究で特記的な事項として、米国の中心的研究機関(MIT、CMU)で進められている関連プロジェクトで中心的役割を果たしている日本人研究者の存在が挙げられる。こうした研究者を核に研究推進することによって、幅広く優秀な人材を育成する機会を実現することが可能である。

b) 基礎研究の強化
 セマンティックなメディア変換を人間の認知プロセスにしたがって実現することは、取りも直さず人工知能技術の課題であり基礎研究的な色彩が強い。人工知能技術はコンピュータの発展の方向として常に究極的な目標たり得るターゲットであり、その研究から派生する応用領域は非常に幅広い。したがって、この分野の研究開発を促進することは基礎研究を強化するだけでなく、産業的な観点でも多くの成果をもたらすであろうことが期待できる。

c) 国・行政・公共分野における積極的な新技術採用
 ユビキタス社会を健全に運営し発展させるためには、様々な法的規制やルールが必要になる。プライバシーの保護、セキュリティ対策、国際間の商取引、商取引における消費者保護、知的財産権、さらには国防上の規制などの広い範囲にわたる制度・環境を新しい技術の発展を阻害することなく、来るべき社会のありようを明確に意識しながら導入しなければならない。

d) ビジネス方法特許、ソフトウェア特許、方式特許の重視とIPR確保
 前述したとおり、ユビキタス社会実現に向けてのメディア変換技術は、組み込み型システムを含む各種情報機器との連携の中で需要が発生し、また効果を発揮するものである。したがって、そこで得られるであろうIPRもソフトウェアだけの比較的孤立した形態ではなく、システム的なあるいは社会の進展と深い関連を持った形での知的財産になることが期待できる。

e) 世界への展開
 本格的なユビキタス社会への道はまだ遠く課題は山積している。しかし、ユビキタス社会実現のためのテクノロジーには日本が世界に対して競争優位に立っている分野の技術も多く含まれている。
 20世紀の最後の10年間、米国はITの包括的で圧倒的な影響力を強く意識して企業活動と制度革新を急速に進め、さらにインフラ整備、人材育成、中長期R&Dを戦略的に推進することによって繁栄を築き上げた。それとは極めて対照的に、我が国はバブル崩壊の後始末に追われ「失われた10年間」を送ることを余儀なくされた。その結果として本報告書の第I編でも述べたように、我が国のIT産業や全産業の競争力は総体的に弱体化したと言わざるを得ない。今や、現状のITパラダイムの中で日本が再び世界で競争優位を確保することは容易では無い。しかし、来るべき未来社会の理念を明確な目標として掲げ、その実現に向けて潜在的に我が国が強みを持つ領域を中心として、相互に連携し有機的に統合された革新的な技術の研究開発を推進することによって、再び世界を主導し貢献する機会を実現することができよう。