2.1.1 その使命 1993年政府業績評価法(GPRA)は、クリントン政権(ゴア副大統領がリード役)の行政改革推進母体、National Performance Review(国家業績評価)タスクフォースの核となる法制である。(NPRは現在、「上意下達」ではなく「省庁との対等の協力関係」を印象付けるような表現であるNational Partnership for Reinventing Governmentと名を変えている。中味は同じである。)GPRAの意義はNPR全体の文脈の中で評価されねばならない。 また、これらの目的を達成する方策として、
2.1 その使命と歴史的経緯
公式的には、NPR/GPRAの使命は「21世紀に向けて、政府をより上手に、より安く、米国民の望む仕事をやり遂げること」と表明されている。
実質的にNPRの背後にある真の目的とは、
「Performance Budgeting」とは、ミッションに導かれた、結果重視の予算編成を意味し、まさにNPRの使命を体現するコンセプトである。クリントン大統領は政府の予算に対する責任説明の尺度・体制(Accountability System)を、これまでの「プロセス、手続き、誰がいくらもらうのか」から「予算をどれだけ使うと何が達成でき、実際にどこまで達成されたのか(Performance& Result)」へ根本的にシフトさせることの重要性を強調した。(ゴア副大統領による方針宣言文書は下記)
2.1.2 業績に基づく予算編成:「Performance Budgeting」
Performance Budgeting実現へ向けた3つの方策 "MISSION DRIVEN, RESULTS ORIENTED BUDGETING" (Accompanying Report of the National Performance Review Office of the Vice President, Washington, DC), September 1993
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NPRが立ち上がった1993年は、その前年に連邦政府予算が赤字のピーク($300B超)に達し、累積財政赤字が$5,000Bに到達しようか、という状況であった。1993年には、連邦予算総額の1
2.1.3 NPRの時代背景
4%が累積赤字の利息支払であった。歳出削減のプレッシャーは日に日に増すばかりであった。このような状況の下で、「政府サービスの質の低下を招かずに(願わくば向上させつつ)コスト
を削減すること」が大命題として浮上してきたのである。
連邦政府にとって「顧客」とは、政府から直接に何らかのサービスを受ける国民及び企業である。
2.1.4 NPRのフレームワーク及びマインドセット
クリントン政権のNPR以前にも、米国には「業績重視の予算を推進するプラン」が4つも存在した。しかし、今回のNPRはその中でも最も長期に継続しており、達成度も最も高いと考えられる。(個々のプランの詳細は英語版報告書p.39を参照)これら先達とNPRの違いは、予算立案、予算決議、業績をより明確にリンクさせ、現実に実施できる具体的メカニズム(後述)を作り上げたことにある、といわれている。
2.1.5 NPRの先駆者達
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現在に至るまで、NPRは数々の法律、報告書、イベントを生み出してきている。
2.1.6 NPRの経緯
2000年3月末には、1993年のNPR立ち上げ以来、最初の年次業績報告書(FY1999)が提出期限を迎える。その報告書がどのように予算決定プロセスに活用されていくのか、その後の展開に要注目である。
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