涙岬・立岩 C.Teer & Stand Rock

キャンプ場から厚岸大橋まで戻って,道々1020に入り,東へ.途中「アヤメが原」という一面アヤメのスポットがあったが,時期がずれていたのでパスする.しばらく緑のトンネルの中を気持ちよく走る.まだ朝早いので車の交通量が少ないせいか, キツネやシカがそこかしこに見える.

しばらく走ると「涙岬・立岩」の看板が出始める.それが何なのかは知らないが,道々からそれほど外れていないので寄っていくことにした (アヤメが原は 1km ほどはずれていた).

駐車場にチャリを置くと,そこにこの岬の名前の由来が書いてあった.曰く.....

昔,昔,厚岸の若者と霧多布の娘が恋に落ちた.若者は船乗りである.
ある日,若者は嵐にも関わらず船を出した.娘に会いに行ったのである.しかし嵐はひどくなるばかりで,霧多布の娘のもとにはいつまで待っても現れない.娘は家を飛び出し,この岬に来て,そしていつまでも若者の名前を泣きながら呼び続けたのだという.
岬は断崖になっており,その岩肌は娘の顔の形をしている.左手に見える海中から飛び出した巨大な岩(立岩)は,娘のもとへ急ぐたくましい若者の上半身のように見える.嵐の日には,その岬に砕ける波が「顔」の目のところまで届き,波の引く様子はあたかも娘が涙を流しているようであり,その上を吹く風の音はあたかも娘の悲鳴のように聞こえるという.そうすると「若者」はジリ‥ジリ‥と陸に近づいてくるのだという.

うーむ.泣かせるじゃぁないかぁ.諸君.
それではと,本当に「娘」と「若者」がいるかどうか見に行った.まず「立岩」つまり若者の方である.背の低い笹の野原の中を歩く.笹が風にカサカサと鳴る.あった.
「ちょっと無理ない?」
これが素直な感想である.たしかに海の中から一つの大きな岩が突き出している.しかしあの岩を「若者」と喩えるのは,いささか無理を感じざるをえなかった.

そこから「娘」は見えないので途中まで戻り,涙岬へと歩いていく.
「おぉ,まさしく!」
今度は違った.岬の崖の岩肌は確かに「娘」の顔をしている.今日は波が高くないので目のところまでは届かないまでも,その様子を想像する事はできる.そうすると不思議なもので,さっきサンザン言ってた立岩もなんとなく「若者」になってしまうのである.ムードに流されやすいんだなぁ.


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