阿寒湖 L.Akan

再び R241 に戻り,雌阿寒岳を右手に,雄阿寒岳を前にして阿寒湖を目指す. 運良くというか悪くというか,オンネトーを出た途端に雨が強くなった. 字面通りバケツをひっくり返したような雨になった.
もう,こうなると自棄糞である.

R240 との合流点から右折.阿寒湖までもう 5km もない.
この R240 と R241 は交差点からおよそ 11km の間,二つの国道が一本の道路に 同居するという珍しい道路である.といっても何も出ないが.

ユースっぽくない町立阿寒湖ユースホステルの脇を素通りし, 阿寒湖畔温泉街に入る.
自転車を降りて初めて気付いたが,むちゃくちゃ寒い.
そりゃ俺が Tシャツと短パンと ゴア だけなのが悪いかもしんないよ. でも,八月だぜ.
ストーブを焚いている観光案内所で市街図を手に入れ,またガタガタ震えながら 銭湯を探す. 温泉街というのはたいてい公衆浴場があって,わざわざ高い金を払って ホテルや旅館の浴場に入ることもない.
市街図からすぐに「マリモ温泉」なる公衆浴場を見つけ, 汚れを落として,十分な熱量を吸収して一服. まだ外は雨だが,こちとら極楽天国,かなり幸せ(ただしテンポラリ).

いい加減にユートピアを出発し,次なるユートピアを求めて自転車で 温泉街を巡回し始める.
そのユートピアとは「ガンダーラ」ではなく「渋めの喫茶店」である.
これもすぐに見つかり,日記と昨日買った絵葉書を持って店に入る. 暖房がしっかり効いている店内のカウンターに腰掛け, 暖かいコーヒーと煙草があれば,もう「Happiness」どころの幸せではなくなる. この幸せを胸に絵葉書を書く.高校野球の中継の真っ最中だったけど, 何処と何処の試合かは覚えていない.

しかしそれも束の間の幸せで,これから雨の中キャンプ場に行って テント張らなきゃならないんだよね. と思って,いやいや店を出ると,なんと,雨が上がっている. アスファルトの上はまだ濡れていたけど,そんなことおかまいなしさ! 元気を取り戻して,キャンプ場に向かう.

湖畔キャンプ場は思ったより広く,人の少ない奥の方にキャンプサイトを決める. 回りには同じ自転車ツーリングの人が数人いるだけ.結構. テントを張り,夕食を作って食って,ブキとコヘルを洗い,熱いコーヒーを入れて 煙草をのむ.
明日は晴れてくれと祈りながらシュラフに身をうずめる.


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