招聘研究者のICOT滞在記




      海外研究者の招聘制度

 ICOTでは、第五世代コンピュータの研究開発を、当初より世界の英知を集めて行う方針をとった。第五世代コンピュータの構想、及び概念的構成は電子技術総合研究所(電総研)の研究者を中心とするわが国研究者により設計されたが、その具体的な実現、およびその応用については、あまりに多くの未解明な研究課題が山積していたからである。

 幸い、知識ベースを持ち、論理的推論を基本演算とする革新的コンピュータの構想は、世界の多くの研究者の夢であったことから、そのようなコンピュータが本当に実現可能なのかを試みる第五世代コンピュータプロジェクトに実際に参加することを希望する多数の研究者が存在した。一方、ICOTに集められた若手研究者はコンピュータに関する基本的知識と研究者としてのポテンシャルはもっていたものの、論理的推論に基づく言語やその実装方法、そのような推論を実行するアーキテクチャなどについての研究経験を有するものはごくわずかであった。そして、世界中を見回しても、当時そのような超未来志向のコンピュータを研究する者の数はきわめて限られており、このような研究者もよりよい研究環境と研究の中心となる場を求めていた。ICOTはまさにこのような場であり、2003年の現在において尚その魅力を失っていない未来志向のコンピュータの世界的中心にとなっていった。

 第五世代プロジェクトの11年間とその後に続いた後継プロジェクトの2年間の13年間に間に招聘した研究者は、95名に及び、そのほか、自費でICOTを訪問し数日間滞在しアイデアを交換した研究者数かなりの数(数十人)に及ぶ。ここには、ICOTが費用を負担し正式に招聘した研究者の残した滞在記を掲載している。

 前期の招聘者が、論理的推論や、論理型言語、並列処理などの大家が多く、ICOTの若手研究員を指導する役割を負っていたのに対して、後期、さらに後継プロジェクトでは、ICOTに蓄積された成果を世界に普及することを目的に、学位の取った後の将来性のある若手研究員が多くなっている。

以下、前期、中期、後期、後継プロジェクトにおける招聘研究者の滞在記を紹介する。

1)前期(Initial Stage) 1982-1984

2)中期(Intermediate Stage) 1985-1988

3)後期(Final Stage) 1989-1991

4)後期(Final Stage)1992 及び後継プロジェクト(Follow-on Project) 1993-1994