JIPDEC AITEC NEWS
News on FGCS Technology and related activities by Research Institute for Advanced Information Technology(AITEC), the successor of ICOT

December 16, 1998
Issue #20

【平成10年度「KLICプログラミング・コンテスト」特集号】


目次

はじめに

師走も半ばとなり、皆さんのお仕事はいっそう忙しさを増していることと思います。 AITECのメンバーも年内に仕上げてしまいたい仕事に追われ、あわただしい日 々を送っています。その大事な仕事の一つである、「KLICプログラミング・コ ンテスト」が実施され、このほど、受賞者が決定致しました!! このコンテストは今年度で3度目の実施となります。なるべく多くの方にKLIC に親しんでいただく目的で、今回は応募者が技量に応じて挑戦できるよう、3コー スを設定しました。このニュースの読者の皆さんの中にも応募して下さった方がい らっしゃることと思います。結果はいかがでしたか? 受賞作品の内容や受賞者の喜びの声、審査員による講評など、詳細は当研究所のホ ームページ上のサイバー表彰式にご参加(アクセス)下されば御覧いただけます。 URL: http://www.icot.or.jp/AITEC/FGCS/KLICON/HYOSHO98/J/home0.html AITEC NEWSでは、コンテストの実施から受賞者決定までをご報告させて いただきます。                              (佐藤 真紀子)

1. コンテストの実施まで

今年度で3回目となるKLICプログラミング・コンテストは、第五世代コンピュ −タプロジェクトで開発された並列論理型言語KL1の処理系KLICの普及促進 のために企画されたものです。KL1による並列プログラミングの技を競う絶好の 機会でもあり、情報処理学会誌、雑誌、ホームページ等に英語版を含む応募要領を 掲載し、広く作品を募りました。 今年度のコンテストの準備に当たっては、まず応募者数を増やすことを大きな目標 にしました。これは、昨年の応募総数が18件とちょっと寂しい結果だったためです。 昨年の応募者数が少なかった理由の一つとして課題が難しかったという反省がある ので、今年はもう少し課題を易しくしては、との意見もありました。しかし、それ では優劣の付け方が難しく、またプログラミング技量を競いたい方には腕の奮いよ うがありません。 そこで、6月に開かれた第1回KLICプログラミング・コンテスト実行委員会で 知恵を絞った結果、できるだけ多くの人が応募できるように、 1)初心者でも挑戦していただける「エントリ・コース」 2)KLICに精通している方にも充分、技量を発揮していただけるよう、 プログラム性能を競う「スピード・コース」 3)自由な発想でプログラミングしていただく「アイデア・コース」 という3つのコースを設定することにしました。 エントリ・コースについては、正しいプログラムが出来れば入賞候補とし、副賞は 入賞者に一律2万円としました。本来なら、全員に副賞を差し上げたいところです が、予算の都合もあり、対象者が50人を超えた場合は、抽選で入賞者を決定する ことにしました。抽選に当たっては、より多くの方に受賞の機会を提供するため、 過去2回の当コンテストおよび今回の他のコースで受賞された方は抽選から除外さ せて頂くことにしました。 スピード・コース及びアイデア・コースについては従来と同じように最優秀賞、優 秀賞、佳作を設けて、それぞれ豪華な副賞も用意しました。

2. 課題の決定と応募状況

さて、コンテストの実施要項が決まるといよいよ課題の決定です。問題はむずかし すぎないか、反対に易しすぎないか、また出題内容が第三者の知的所有権を侵害し ていないかなど、毎回、課題の決定は審査とともに最も神経を使う場面です。 3回目の実施ともなると案も出尽くした感があり、課題の決定はかなり難航しまし た。エントリ・コースは、なるべく易しく、しかも楽しんでプログラミングできる ような課題として「ライツアウト」に決まりましたが、スピード・コースについて は、なかなか委員の方々の意に叶う課題がありません。とうとう委員会では決まら ず、有志によるワーキング・グループを作り、課題選定作業を続けました。スピー ド・コースの課題が「スケルトン・コンテスト」と決まったのは7月上旬でした。 課題が決定しても、どの程度の難しさなのかは実際にプログラミングしてみなけれ ば判りません。そこで委員の代表がサンプル・プログラムを作成することになりま した。特にスピードコースのサンプル・プログラム作成は思ったよりもだいぶ時間 がかかりました。どうやらスピード・コースの課題はなかなか難しそうです。主催 者側としては「あまりむずかしいとみんな敬遠してしまうのでは。。」と応募者数 が気になるところですが、締め切りまでじっと待つしかありません。毎日、応募状 況を見ては一喜一憂の日々が続きました。 そして待ちに待った締め切りの日、今年の応募状況は次のようになりました!!     エントリ・コース  75件     スピード・コース   8件     アイデア・コース   2件

3. 受賞者の選考

平成10年12月2日、受賞者を選考するための審査委員会を開催しました。スピ ード・コースとアイデア・コースについては、それぞれの担当委員による予備評価 データをもとに、2時間以上も議論した結果、ようやく受賞者が決定しました。エ ントリ・コースについては、厳正なる抽選の結果、入賞者を決定しました。各コー スの受賞者は以下のとおりです。 【エントリー・コース】 課題:「ライツアウト」 ゲーム「ライツアウト」の進行を管理するプログラムが正しく動作した 受賞対象者74名のうち、過去にこのコンテストで受賞経験がある応募者 および今回、別のコースで入賞した人を除く66名で抽選を行ない、50 名の入賞者を決定しました。入賞者の所属内訳は以下のとおりです。 ・北陸先端科学技術大学院大学 ・東京大学 ・東京工業大学 ・電気通信大学 ・一橋大学 ・東京理科大学 ・早稲田大学 ・慶應義塾大学 ・日本工業大学 ・鈴鹿工業高等専門学校 ・京都大学 ・立命館大学 ・福山大学 ・愛媛大学 ・社会人 【スピード・コース】   課題:「スケルトン・コンテスト」   最優秀賞:    鶴岡 慶雅  氏            (東京大学大学院工学系研究科)   優秀賞:     河野 洋一  氏            (社会人)            栗田 英明  氏            (電気通信大学 情報工学科)            福田 茂紀  氏            (東京大学大学院工学系研究科)            大内 拓実  氏            (東京大学大学院工学系研究科)    佳作:     加藤 紀夫  氏            (早稲田大学 理工学部 情報学科)            兵頭 和樹  氏            (電気通信大学 情報工学科) 【アイデア・コース】   最優秀賞:    該当者なし 優秀賞および 「KLIjava: KL1 to Java compiler」 審査員奨励賞(*): 倉持 聡  氏            (早稲田大学大学院 理工学研究科)     佳作:    「pnmcon: 画像ファイル変換プログラム」             福田 茂紀  氏            (東京大学大学院工学系研究科) * 優秀賞を受賞した倉持氏の作品は審査員の予想を上回る力作であった ため、今後、さらにKLIjavaの完成度を上げていただくことを期待し、 審査員奨励賞も併せて授与しました。

4. 終わりに

当初は試行錯誤しながら始めた当コンテストですが、今回を含めて3回実施するこ とができ、ようやく軌道にのりました。本来なら今後、この経験を生かせる筈なの ですが、AITECによるコンテストの開催は残念ながら今回をもって一応の区切 りとなります。何かと不手際、至らぬ事もあったと思いますが、ご応募いただいた 皆さん、KLICプログラミング・コンテスト実行委員会委員の方々やKLICタ スクグループのメンバの皆さんのご協力に心より感謝致します。また別の形で当コ ンテストが復活される際には、変わらぬご支援をよろしくお願い致します。                (KLICプログラミング・コンテスト事務局) ☆*********************************************************************☆ AITEC NEWS Issue #20 編集・配布 AITEC NEWS編集グループ   佐藤真紀子 高橋千恵 相場 亮 河西和美   武田 浩一 鳥居良春 佐藤 博 内田俊一 発行 1998年12月16日    財団法人 日本情報処理開発協会 先端情報技術研究所    東京都港区芝2丁目3番3号 芝東京海上ビル2F    TEL :03-3456-3191 FAX :03-3455-4877    e-mail: aitec-news@icot.or.jp    URL : http://www.icot.or.jp ☆*********************************************************************☆

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