前期3年間(57年度〜59年度)の研究開発の成果に対する総合的な評価の概要が述べられています。
【項目】
- 前期研究開発基本計画
- 研究開発体制
- 研究開発の主な成果
- 評価
【概要】
●「1.前期研究開発基本計画」では、
- 研究開発期間:昭和57年度から3年間
- 研究開発費総額:約82億円
- 研究開発目標:
従来のコンピュータの技術的制約を克服し、1990年代に要求されるであろう知識情報処理機能をそなえた第5世代コンピュータ・システムの実現に必要な推論機能や知識ベース等に関する基本要素技術を確立することを目標とする。
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が紹介され、この目標を達成するために、前期に研究開発が計画された、ハードウェアやソフトウェアのシステム等が示されています。
これらの関係を図にまとめたものは、参考資料「第五世代コンピュータプロジェクトの概要」の「3.研究開発課題と進捗状況 1.前期の研究開発課題」にも示されています。
また、前期研究開発計画の内容は、参考資料「第五世代コンピュータプロジェクトの概要」の「付録−1」にも分かり易くまとめられています。
●「2.研究開発体制」では、
本開発研究が通商産業省からICOTへの技術開発委託により実施されたこと、すなわち
- 国内の公的研究機関等の人工知能等の研究開発実績をもつ者をICOTの研究員として集めて、基礎技術の研究開発に当てる
- 実装化等外注が可能なものについては、十分な技術力を有するコンピュータメーカ等に再委託する
方式により実施されたことが述べられています。
上記の II. の再委託実施機関は、表1にまとめられています。
また、学界、産業界等の有識者の意見を取り入れることにより、研究開発の効果的な推進を図るため、
- 通産省の機械情報産業局長の私的諮問機関として、電子計算機基礎技術開発推進委員会等
- ICOT研究所長の諮問機関として、プロジェクト推進委員会ならびに専門ワーキンググループ
を設けたことが述べられています。
II. については、参考資料「第五世代コンピュータプロジェクトの概要」の「4.ICOT組織の概要 3.事業活動」にも示されています。
以上のICOT研究開発体制は、図1に図示されています。
最後に、どのように国際協力を行ったかについて述べられています。
●「3.研究開発の主な成果」では、
前期には、第五世代コンピュータの基本的な要素技術を開発するため、下記4つの研究開発課題についてそれぞれ独立に研究開発が行われたことが述べられ、それぞれについて成果が示されています。
- 推論サブシステム
- 知識ベースサブシステム
- 基礎ソフトウェアシステム
- ソフトウェア開発用パイロットモデル
具体的には、「(1)推論サブシステム」では、
- 論理型言語プログラムの実行特性の解明
- 機能メカニズム別モジュールならびに動作実験用シミュレータの開発
- 機能メカニズム別モジュールの超LSI化方式についての検討
- 中期の実験用小規模推論サブシステムの設計上必要な諸元を明確化
- 実験的検討を行うためのツールを準備
という成果が述べられ、このうち、「機能メカニズム別モジュール」と「動物実験用シミュレータ」では、
- 並列型推論基本メカニズム
- データフローメカニズム
- 抽象データ型メカニズム
に関する主な成果が、「超LSI化技術」に関しても、主な成果が具体的に述べられています。
「(2)知識ベースサブシステム」では、
- 論理型言語をベースにした基本的な知識表現形式である関係表現に対象を絞って、機能メカニズム別モジュールならびに動作実験用シミュレータの開発
- 機能メカニズム別モジュールの超LSI化方式についての検討
- 中期の実験用小規模知識ベースシステムの設計上必要な諸元を明確化
- 実験的検討を行うためのツールを準備
という成果が述べられ、このうち、「機能メカニズム別モジュール」では、
- 知識ベース基本メカニズム
- 並列型関係・知識演算メカニズム
- 関係データベースメカニズム
に関する主な成果が述べられ、「動物実験用シミュレータ」と「超LSI化技術」に関しても、主な成果が具体的に述べられています。
「(3)基礎ソフトウェアシステム」では、
- 核言語、問題解決推論ソフトモジュール、知識ベース管理ソフトモジュール、知的インタフェースソフトモジュール、知的プログラミングソフトモジュールの構築に必要な要素技術の基礎的研究とアルゴリズムの確認
- 上記モジュールの設計に必要な諸元の解明
を行い、核言語、各モジュールについて
- 5G核言語
- 核言語第0版
- 核言語第1版
- 問題解決・推論ソフトモジュール
- 並列推論用基本ソフトウェア
- 問題解決用基本ソフトウェア
- 知識ベース管理ソフトモジュール
- 大規模関係データベース管理プログラム
- 知識表現システム
- 知識利用実験システム
- 知的インタフェースソフトモジュール
- 高機能構文解析プログラム
- 意味解析システムパイロットモデル、辞書システムパイロットモデル
- 知的プログラミングソフトモジュール
- モジュラープログラミング基本ソフトウェア
- ソフトウェア検証管理プログラム
に関する主な成果が具体的に述べられています。
「(4)ソフトウェア開発用パイロットモデル」では、
ロジックプログラミングに適したスーパパーソナルマシン級のコンピュータシステムをハードウェアはPSIマシンとして、ソフトウェアはSIMPOSシステムとして具体化し、各研究グループの主力ツールとして利用し、高速処理用のバックエンド型プロセッサの開発も完了している事が報告されています。更に、
- 逐次型推論マシンハードウェア
- 逐次型推論マシンソフトウェア
として、具体的成果が示されています。
以上の、前期研究開発の主な成果は、
参考資料「第五世代コンピュータプロジェクトの概要」の
「3.研究開発課題と進捗状況 2.前期の主な成果」にも
コンパクトにまとめられています。
●「4.評価」では、
- 基本計画の達成度
- 前期研究開発の意義
が述べられています。
このうち、「(1) 基本計画の達成度」では、
従来のコンピュータの技術的制約を克服し、1990年代に要求されるであろう知識情報処理機能をそなえた第五世代コンピュータ・システムの実現に必要な推論機能や知識ベース等に関する基本要素技術を確立することを目標とする。
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という、研究開発基本目標が述べられ、その目標に対し、
- 技術的制約の克服可能性検証
- 基礎要素技術の確立
という2つの観点から評価が述べられています。
●最後に「(参考)」として、
- 工業所有権等の一覧表(昭和61年3月現在)
- 外部発表論文の一覧表
が載っています。
上記1.に関しては、「資料4.第5世代コンピュータプロジェクトの成果一覧(特許およびノウハウ)」に出願特許一覧表、ノウ・ハウ指定が具体的に示されています。
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