mation Technologies)(注26)、イギリスで
は ALVEY 計画 (注27)等が できるに 至った
(注28)
5.今後の展望
すでに述べたとおり、 第五世代 コンピュー タ・プロジェクトは、 超 LSI プロジェクトの ように自国の産業競争力強化を主眼とせず、基 礎研究に対し日本政府が資金を出し、その研究 成果を通じて広く国際的に貢献することを主眼 としている。これは、最近、米国を中心に行わ れている自国産業の競争力強化政策とは一線を 画すものである。そもそも、国家が直面する経 済問題を、世界市場を巡る競争力の問題とみな し、コカ・コーラとペプシがライバルであるの と同様に、米国と日本がライバルであるという 考え方は、先進工業国間に悪循環のゲームを展 開することとなり、保護主義を助長し、結果と して貿易による国家間の補完関係を崩す時代錯 誤的なものといわざるをえない(注29)。すな わち国家が先導して行う産業競争力強化政策は 日本が経験したような高度成長期のキャッチ・ アップの時代には有意義であったかもしれない が、キャッチ・アップが終わって次のステップ を踏もうとしている 日本や その他先進諸国に とっては、もはや政策的意義がなくなっている のである。この種の産業競争力強化政策を礼賛 する最近の米国等の考え方に対しては懸念を禁 じ得ない。 そういう意味で、第五世代プロジェクトは適 切な理念で実行されたプロジェクトであるとい えよう。第五世代コンピュータ・プロジェクト について、 超 LSI プロジェクトのように製品 化されなかったから 失敗した との意見もある が、それは上記のプロジェクトの理念を十分に
認識していない意見であるといえよう。
  次に第五世代コンピュータ・プロジェクトの
研究成果については、現在のところ即断は難し
いが、現状の研究成果を評価するため論文引用
数をみると、同種の研究を行っている大学・研
究所の研究者等と比較して、(財)新世代コン
ピュータ技術開発機構の研究者の論文引用数が
多くなっており、同機構の研究成果が広い範囲
に影響を及ぼしていることがうかがえる。現在
の第五世代コンピュータ・プロジェクトに対す
る技術的評価について、アーキテクチャ部分に
関しては、最近のダウンサイジング等の技術革
新により将来技術に活用されるとは思われない
が、並列処理の考え方、並列処理の基本となる
言語は今後のコンピュータ技術に重要な影響を
与えるものと思われる。
  さらに第五世代コンピュータ・プロジェクト
を組織面からみると、渕氏を中心とする研究所
幹部が主導的な役割を示した。例えば、人事面
では研究所幹部が中心となって、各企業、国立
研究所等から優秀な人材を集め、適材適所を旨
に人員配置を行った。したがって寄り合い所帯
にありがちな、コミュニケーションの断絶はな
く、研究を 効率的に行えるような 組織であっ
た。
  このように、理念、成果、組織等からみて、
第五世代コンピュータ・プロジェクトは評価で
きるプロジェクトといえる。
  加えて第五世代コンピュータ・プロジェクト
の今後について述べる。
  第五世代コンピュータ・プロジェクトについ
ては、1995年3月で国家が負担するすべての研
究開発が終了した。国家プロジェクトの場合、
資金が国から拠出されなくなった後のバック・
アップ体制が重要なポイントとなる。すなわち
国家予算から研究開発費が拠出されている時に
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