十分公開しているか、という二つの観点から論
じてみたい。前者については、a)(財)新世代コ
ンピュータ技術開発機構へ来訪した外国人の推
移、b)海外研究者招聘数の推移等をみる。後者
については、c)ソフトウェア及びTR、TMを
海外へどのように公開しているか、d)海外の研
究機関とどのような研究交流を行っているか、
という観点から論ずる(図4参照)。
a)  (財)新世代コンピュータ技術開発機構へ来
訪した外国人の推移
  まず(財)新世代コンピュータ技術開発機構へ
来訪した外国人の推移をみると、初年度でさえ
海外からの来訪者が 150人にも及び、海外での
このプロジェクトへの関心の高さがうかがえる
(表6)。特に1985年頃は世界的な AIブーム
となり海外のマスコミ等の来訪も多かった。大
学、産業、専門家の来訪者数は、安定的に推移
しており、海外の研究者の注目度が継続して高
いことが分かる。(財)新世代コンピュータ技術
開発機構の方針として、来訪希望者は国内外問
わず、受け入れることとしていたことも関係し
ていよう。
b)  海外研究者の招聘数の推移
  次に(財)新世代コンピュータ技術開発機構
へ招聘された海外研究者の推移を表7に示す。
海外研究者招聘制度は、(財)新世代コンピュー
タ技術開発機構が資金を出し、毎年7〜8名の
第一線の海外の研究者を約1ヵ月招聘し、意見
交換 及び共同研究を行うことを 目的に作られ
た。表7をみるとアメリカを始め方々の国々か
ら毎年招聘されていることが分かる。プロジェ
クト前期では、ロジック・プログラミングの分
野で先駆的な研究を行っていた大家を招聘し、
同機構側が 勉強する という色合いが濃かった
が、中期以降は同機構の研究成果が具体化され
るにつれて、招聘した第一線の活発な若手研究
者と対等の立場で活発な意見交換をするケース
が多くなった(岩田[1991])。
  上記以外にも、(財)新世代コンピュータ技術
開発機構では、 米国国立科学財団(NSF)、仏
国国立情報処理 ・自動化研究所(INRIA)、英
国貿易省(DTI)の 情報工業通産局(IED) と

図4 研究交流と研究開発成果の普及の枠組み
研究交流と研究開発成果の普及の枠組み
(出所)瀧編 [1993] をもとに作成

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