ii)  サブシステム開発 ( 1985年度〜1988年
  度:4年間)
  第五世代コンピュータの基盤となるサブシス
テムの実現に用いるアルゴリズム、 基本的な
アークテクチャの設定を行い、 これに沿って
小・中規模のサブシステムを開発を行った。具
体的には、 並列 推論用 論理型 言語 ( KL1
(Kernel Language Version 1))、KL1 で記
述された並列マシン用オペレーティング・シス
テム(PIMOS (Parallel Inference Machine
Operating System))、複雑でかつ大規模な知
識を扱う 知識ベース 管理システム( Kappa
(Knowledge  Application  Oriented  Ad-
vanced  Database  and  Knowledge  Base
Management  System))、 64 台の 要素プロ
セッサを接続ハードウェアで2次元格子状に結
合した 並列推論実験機(マルチ PSI )等を開
発した。その成果は1988年11月の第3回第五世
代コンピュータ国際会議で発表された。
iii)  トータルシステムの開発( 1989年度〜
  1992年度:4年間)
  前期、中期に研究してきた要素技術を基に、
第五世代コンピュータのプロトタイプ・システ
ムを作ることを目標としている。具体的には、
1000台規模の要素プロセッサを結合した並列推
論マシン(PIM  (Parallel  Inference  Ma-
chine))、PIMOS の機能強化、並列データ管
理システム( Kappa-p )の開発等を行った。
また知識プログラミング・システムにおいて
は、対話インターフェース技術の開発、問題解
決プログラミング技術の開発、知識ベース構築
利用技術の開発を行った。さらに、プロトタイ
プ・システムの機能実証のため、並列プログラ
ミング技術の集積と並列応用についての研究も
行った。並列推論マシン( PIM )上で稼働す
るいくつかのアプリケーションソフトを開発し
た。その成果は、1992年6月の第4回第五世代
コンピュータ国際会議で発表された。
c)  FGCS Follow-on Project ( 第五世代コ
  ンピュータ 研究基盤化 プロジェクト)(注
  12)
  1993年度〜1994年度(2年間)で、前掲の表
1のとおり28億円の国家予算が投入された。
  当該プロジェクトは研究開発と第五世代コン
ピュータ技術の広報・普及活動の二つに分けら
れている。 研究開発活動は、 KLIC と呼ばれ
る UNIX ベースの逐次 および並列マシン上の
KL1 プログラミングの 新しい環境を開発する
等である。広報・普及は、過去の研究開発で作
られたソフトウェアを『 ICOT 無償公開ソフト
ウェア( IFS )』として配布すること、 イン
ターネット上で研究開発活動に関する技術情報
を公開すること、等がある。これらは、1994年
12月に開催された第5回第五世代コンピュータ
国際会議で発表された。
3.第五世代コンピュータ・プロジェクト の組織と運営方法
全体のプロジェクト推進体制は図2のとおり である。研究開発に関わる費用は全額通商産業 省からの委託費でまかなわれている。 研究開発は、(財)新世代コンピュータ技術開 発機構内に設けられた研究所(1982年6月に開 設)が主体となって行われた。研究所長(兼財 団常務理事)となった 渕一博氏( 現所長内田 俊一氏)以外は企業等からの出向者で構成され ており、 出向者は原則として 3〜4年のロー テーションで入れ替えを行った。研究所では中 核的な研究開発を行い、ハードウェアの製造や ソフトウェアの製造等についてはコンピュータ メーカー等に 再委託した。 (財)新世代コン
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