には、政府の予算は計上されておらず、通商産
業省の外郭団体の日本情報処理開発協会が主催
する第五世代コンピュータ調査委員会に通商産
業省電子政策課や電子総合研究所のメンバーが
参加する形をとっていた。
  1981年に調査費が計上されたため、通商産業
省は 電子計算機技術開発調査委員会 (委員長
元岡達  東京大学教授 (当時)) を設置し、機
械情報産業局長の諮問に応じて「第五世代コン
ピュータ研究開発」に関する調査を行った。委
員会は計4回開催され、最終回の1982年2月24
日に第五世代コンピュータ・プロジェクトに関
する調査開発計画、調査開発内容及び波及効果
等を含んだ調査報告書を取りまとめた。この委
員会は、かなりの人間が前述の日本情報処理開
発協会が 主催する 第五世代 コン
ピュータ調査研究委員会と重なって
おり、そこでの検討結果が、電子計
算機技術開発調査委員会にも反映さ
れ、 通商産業省の 第五世代 コン
ピュータ・プロジェクトの調査研究
計画はオーソライズされた。
b)  FGCS Project (第五世代コン
  ピュータ・プロジェクト)
  表1のとおり1982年度から初めて
プロジェクト実施のための国家予算
が計上された。1985年度までは一般
会計のみであったが、1986年度から
は、一般会計と特別会計の2本立て
となった。1982年度から1992年度の
11年間は3期間に分けられ、それぞ
れ、 前期83億円、中期216億円、後
期242億円、合計541億円の国費が投
入された。
i)  基本技術開発(1982年度〜1984
  年度:3年間)
  第五世代コンピュータを構築するために必要
な基本的な要素技術の研究を行った。具体的に
は、 PROLOG をベースとした 逐次型論理プロ
グラム言語(ESP (Extended Self-Contained
Prolog))、推論機構をハードウェア化した世
界 初の 逐次 推理型 コンピュータ ( PSI
(Personal Sequential Inference Machine))
と PSI の上に乗せられる ESP で記述された世
界初の論理型言語によるオペレーション・シス
テム(SIMPOS (Sequential  Inference  Ma-
chine   Programming   and   Operating
System))、並列推論を実行する 新たな並列論
理型言語 (GHC (Guarded  Horn  Clauses))
等を開発した。その成果は1984年11月の第2回
第五世代コンピュータ国際会議で発表された。
表1 第五世代コンピュータ・プロジェクトの予算の推移
FY 一般会計特別会計 期  別
1982426,0000 426,000 前 期
(1982〜1984)
8,272,356
19832,722,7020 2,722,702
19845,123,6540 5,123,654
19854,779,4800 4,779,480 中 期
(1985〜1988)
21,630,636
19864,500,950990,121 5,491,071
19874,051,1291,580,000 5,631,129
19883,800,4981,928,458 5,728,956
19893,722,3652,760,606 6,482,971 後 期
(1989〜1992)
24,181,826
19903,464,8003,478,197 6,942,997
19913,083,4334,080,399 7,163,832
19921,000,0522,591,974 3,592,026
1993 01,388,072 1,388,072  
1994 01,408,072 1,408,072
36,675,063 20,205,89956,880,962 54,084,818
単位:千円
(出所)通商産業省の資料による
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