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はじめに

第五世代コンピュータ・プロジェクトは、国際貢献を果たしつつ技術先進国 として発展するという我が国の政策のもとに、昭和57年度にスタートした。

このような背景から、プロジェクト開始にあたっては、世界を視野にいれた国 家プロジェクトのあり方の議論を行い、国際的にみても創造的・先駆的な技術 という意味を込めて「第五世代コンピュータ」と名付けた。そして、その技術 目標を「知識情報処理を指向した新しいコンピュータ技術の研究開発」と定め、 技術目標に含まれる多くの要素技術の実証・評価を行う必要性から、並列推論 型コンピュータのプロトタイプ・システムの試作にその中心を置き、推進母体 として財団法人新世代コンピュータ技術開発機構 (ICOT) を設立した。 昭和57年度に研究開発を開始した本プロジェクトも、11年間で約540億を投じ、 平成4年度をもって終了することとなった。

プロジェクト終了にあたり、平成3年11月から本電子計算機基礎技術開発推進 委員会において、本プロジェクトの評価及び今後の課題と展開のあり方につい ての検討を進め平成4年6月には中間報告が出された。

この中間報告においては、まず、「社会的・政策的評価」として、「本プロジェ クトは国際貢献に役立つことを明確化したプロジェクトであり、本分野におけ る世界の研究交流の拠点となると共に、国際共同研究を発展させ基礎研究を推 進し成果を広く還元したプロジェクトとして、国際貢献を実現した」との結論 を下している。更に、「今後の課題と展開のあり方」としては、「本プロジェ クトで開発したソフトウェアを研究環境で広く利用できるように既存のコンピュー タ上への移植を行うことによって、本分野の研究基盤を構築すると共に、知識 処理の基礎となる技術についての更なる研究開発を行うべきである」との提言 が示された。本提言を受け、平成5年度から2年間の予定で、第五世代コンピュー タの研究基盤化プロジェクトがスタートすることとなった。

しかしながら、学術的・技術的観点に関しては、平成4年6月以降も精力的 に行ってきたプロトタイプ・システムの研究開発により、中間報告で示した 研究内容よりも大幅な進展がみられる。したがって、プロジェクト終了にあたる 現時点において最終的な評価を行う必要があり、以下に示す学術的・技術的 評価をもって、 第五世代コンピュータ・プロジェクトの最終評価とする。