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知識表現言語システム Quixote

より大規模で実用的な知識情報処理システムを実現するためには、大量で複雑 な知識を計算機上で効率良く扱う機能が必要がある。これが知識ベース管理機 能である。これを実現するためには以下のことを考慮する必要がある。

  1. 複雑で雑多な知識をいかに表現するか
  2. 大量の知識をいかに効率良く蓄積するか
  3. 蓄積した知識から必要な知識をいかに導出するか
このために、知識表現言語 Quixote を設計し、それによって表現された知識 を格納した知識ベースを管理し、必要な知識を導出するためのシステムを開発 した (このシステムを Quixote システムと呼ぶ)。

Quixote 言語は、実世界の知識を自然に表現するために、データベース、プロ グラミング言語、自然言語処理などの複数の分野から検討を加えて設計された マルチパラダイム言語である。このような知識表現には、オブジェクトの情報 は完全であるか不完全であるかによって従来複数の流れがあったが、Quixote はこれらを自然に統合した言語としては世界で初めての言語となっている。

Quixote システムは、上記の知識ベースに対する高度な利用を可能にするため に、推論機能を強化し、大量の知識をディスクに格納するする機能をサポート している。前者の機能としては、通常の演繹の他に、知識ベースに仮説を追加 して推論する機能や、知識ベースに不足している知識を推論する機能などもサ ポートしている。このようは包括的な機能を持った知識ベース・システムは他 に例を見ない。

この Quioxte 言語と Quixote システムの有効性は、新しい事件の判決を予測 する法的推論、複数の自然言語表現から曖昧性を除去する状況推論、複雑な構 造体間の関連を推論する遺伝子情報処理などの応用によって確かめられている。

Quixote で知識がいかに表現されるかを例で示す。たとえば

  1. サイダーは、日本ではソーダ水の一種だが、欧米ではリンゴから発酵によって 作られたものである。
  2. 米国のサイダーにはアルコールは含まれていないが、英国のサイダーにはアル コールが含まれている。
  3. 日本では、アルコールの含まれていない飲料については無税である。
  4. 日本のサイダー市場が開放されているならば、米国は日本にサイダーを輸出す る。
のような知識は図に示すように書くことができる (図で示しているが、 Quixote による記述量もほぼ同じになる)。