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概要

第五世代プロジェクトの中期頃までは、適当な例文について人間と機械との対 話を行なうシステムを試作した。この結果、人間と機械との対話を円滑に行 うためには、従来の文法で扱っている文内の構造のみならず、複数の文にまた がる文脈構造の解析・生成規則が必要なこと、また言語的知識だけでは不十分 であり、対象分野やその周辺に関する膨大な背景的知識が必要であることが明 白になった。その結果、限られた例文の中でトイ・システム的に全体を通じ て動かすことには重点を置かず、個々の要素技術、個別のテーマをさらに深め て研究し、得られた成果を広く世界に公開する方針を取った。

文脈構造の解析・生成については、従来の構文文法の拡充・整備を継続する一 方で、いわば文脈文法ともいうべき規則の解析収集を行った。背景的知識につ いては、膨大な言語外知識の収集はICOTにおける作業では限界があり、むしろ 日本電子化辞書研究所EDRで行われている大規模な辞書、概念辞書の開発、あ るいはアメリカのMCCにおける百科事典的知識の収集、記述プロジェクトCYCな どの成果に期待する方針を取っている。