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詳細な知識表現と高度な推論技術

刑事事件をコンピュータで扱うには、当事者の認識と事実の食い違い、当事 者の意図の時間的変化、1つの行為の立場による解釈の相違、などの詳細な情 報を記号として表現することが必要とされる。また、それらの情報を利用する には、類推や仮説の生成や因果関係や時間関係などの推論技術が必要とされる。 このシステムでは、刑事事件の実問題の解決に必要な知識表現や推論の手法が 開発された。知識表現については、さらに状況理論を用いて形式化を行い、推 論技術については、さらに計算モデルとして形式化を行った。その結果、法的 推論がどのような性質を持つ推論であるかを理論的に解析することが容易になっ た。知識表現や推論の要素技術は未だに発展段階にあるため、汎用で強力な知 識表現/推論のシステムを開発できる状況にはない。本研究では、 法的推論と いう枠組の中で、個々の要素技術を有機的に統合して強力な推論機構を実現し ている。しかも、一般性を持たせるために、法律の特殊性をなるべく排除する ように工夫されている。また、入力を容易にするためのインターフェース、自 然言語による出力インターフェースなども用意されている。