平成10年度 委託研究ソフトウェアの中間報告

(16) KL1プログラム静的解析系

研究代表者:上田 和紀 教授
早稲田大学


研究テーマ、研究代表者:

(1)研究テーマ

KL1プログラム静的解析系

(2)研究代表者(氏名、所属、役職)

上田 和紀
早稲田大学理工学部情報学科、教授

報告項目

(1) 研究の目的

平成9年度委託研究成果である「KL1プログラム静的解析系」について、

  1. 中間データ形式の改善
  2. 最終結果出力形式の改善
  3. 出力情報と出力型式の制御機能の追加
  4. プログラムや用いられたアルゴリズムの解説の拡充
  5. 平成8年度委託研究「KL1プログラム開発支援ツール」の成果ソフトウェアであるkimaの機能との統合
を行なう。

(2) 研究の進捗状況

技術的な解決課題が多く残っているkimaとの統合のための準備を進め てきた。

これまでのkimaは、基礎となるモード解析機能として、平成7年度委 託研究成果であるklint第1版を用いていたが、これをklint第2版に基 づくものへ変更してきた。またklint第1版の自動バグ修正機能は試験 的なものであったが、最近の発表論文(網代ほか「静的解析と制約充 足に基づくプログラム自動デバッグ」、コンピュータソフトウェア、 1998年1月)に提案したアルゴリズムへの置換えを進めてきた。

さらに、klint第2版の参照数解析の理論面を進めてきた。

(3) 現在までの主な成果

基本的に、kimaをklint第2版準拠にする作業はほぼ終了しており、 誤り修正機能についても、単一誤りについては実装が終わり、動作確 認が終わっている。

また参照数解析の理論整備もほぼ終了している。

(4) 今年度目標成果ソフトウェアイメージ

プログラムの静的解析の主要な用途として、プログラムの誤りの静的 検出に役立てることと、処理系最適化のための基本情報を提供するこ との二つがある。前者のためには、プログラマにとって有用な情報を 見易く出力する必要があり、後者のためには、将来の最適化コンパイ ラや、より詳細なプログラム解析を行なう抽象解析系などが容易に取 り込むことのできる出力型式が望ましい。

klintは、プログラム診断と処理系最適化の双方に本格的に応用する ことを視野に入れて作成したソフトウェアであり、KL1プログラム診 断技術とKL1言語実装技術の両方の研究開発ならびにそれらの実用化 に資するものしてゆきたい。


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