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研究の背景と目的

我々は論理と確率,計算と学習を融合し学習により振舞いを変えて 行く適応的なプログラミングの世界の実現を目指している. 具体的 には論理プログラムのファクト集合に確率分布を割り当て実世界の具 体例によりその確率分布を学習する事によりプログラムに所望の振舞 いをさせる事を狙う. 適応的な論理プログラムは不確実な情報も適切に扱う事の出来る高 度な知識処理システムのための知識表現言語となると共にその組み込 みの学習能力を通じてエージェントなど複雑多様なモデルの実現にも 役立つと考えている.

平成8年から9年までの2年間における IFS の委託研究では計算と 学習を融合した新しいタイプの計算機言語PRISMの研究・開発を行なった. PRISMは統計モデルを(数値ではない)記号レベルで記述する道具 であるばかりでなく,統計学のEMアルゴリズムを応用した学習機構を 内蔵し,観測データをよりよく説明するように, 理論(プログラム) のパラメータを観測データから学習する能力を備えている. PRISM は計算と統計学習を統合しているので,その実行法は従来の 計算機言語に比べ複雑になっている. ソースプロラムはそのまま実行されるのではなく, PRISM翻訳系 により学習用の Prolog プログラムと実行用の Prolog プログラムの 2つのプログラムに変換されてから,それぞれ実行される.さらにまた 実行にもサンプリング実行を初め3種類の実行モードが存在する.

しかし,それらの実行状態を表示する PRISM の実行トレーサは 未完となっており,プログラムのデバッグの手間が大きかった. これは,将来更に大きいPRISM プログラムを開発する際の阻害要因 になる.そこで本委託研究では PRISM 処理系のブラッシュアップとして, プログラム実行中に確率情報を表示する実行トレーサを実装することを 目的とした.

また,PRISM の日本語マニュアルはページにして70ページ程である. 本研究ではこの日本語マニュアルを英訳する事により,英語圏の 読者にもPRISMプログラミングのアイデアと書き方を提示することも 目指した.



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