本節では階層連立1次方程式 ( HLS ) の定式化を行う。制約としては1次方程式を 用いるが、ここで述べる定式化と性質は 1 次方程式に限定されたものではなく、 より一般的な制約に対しても応用できる。
本論文では以下、常に ( A c ) を HLS と見なす。直観的には、 第 1 行すなわち最上位の行が HLS の解を決定する上で最も強い影響力があり、 下の行ほど影響力は弱くなる。この性質のために次のように解を定義する。
直観的には、 は 2 つの誤差を表すベクトルを「階層的」に比較し、
( A c ) の解集合は、
の意味で最小の誤差を生ずる全てのベ
クトルの集合である。
制約階層の全てのレベルを順に連結して得られる HLS は、元の制約階層の locally-error-better 解集合の部分集合を生成する。従って、全ての解を必要としない場合、 制約階層を HLS で代用することが可能である。通常、GUI で制約を利用する場合、 1 つの解で十分であり、この性質は、制約階層解消系のために HLS を用いるとい う本研究の方針を裏付ける本質的な根拠となっている。