ルールペースト・アニーリング(RA) 従来のシミュレーテッド・アニーリング(SA)に対して知識による変換(ルール)を付加し、各ルールの選択確率にもとづき確率的に適用する、また、各ルールの選択確率は動的に変化し、設計時間か短いときは貧欲なルールが優先して用いられ、設計時間が長いときはランダムな変換が優先して用いられる、本方法により、与えられた設計時間内でよい回路を設計することができる。 デモ概要(1) @スケジュール表 スケジュール表は二次元の表であり、横軸が演算器/ALUをたて軸がタイムステッブを表す。各二項演算式が、どのALUにおいてどのタイムステップで実行されるかを示す、 Aアニーリング温度T、およびコストが100上がったとき受理される確率 (e-) Bスケジュール表に対応する全体コストおよび各部分のコスト C各ルールの選択確率をランダムな変換群、ALUに関するルール群、実行時間に関するルール群でまとめたもの 並列処理 ●中低温での受理率(スケジュール表が更新される割合)を増加させる。 ●一つのマスタPEと複数のスレーブPEで一つのクラスタを構成し、すべてのクラスタをホストPEが管理する、 クラスタ複数のスレーブPEが並列に有効な変換を見つけ、その変換をマスタPEが適用することで受理率を増加させる。 ホストPEスケジュール表の最適化が進むにつれて、一つのクラスタに含まれるスレーブ数を増加させることにより、受理率が低下するのを防ぐ。 デモ概要(2) @クラスタの動的な変化 最初は、ホストPEを除くすべてのPEがマスタPEとして動作するが、徐々にスレーブPEが増加していく様子を表示する。 A受理率の変化 中低温でも受理率が低下しない様子を表示する(紫線は従来のSA)。Bコストの変化 温度の低下ともに、コストが減少していく様子を表示する(紫線は従来のSA)。 協調型論理設計エキスパートシステムco-LODEX 概要 VLSI市場の拡大に伴い、高品質な設計を短期間で行うことのできる設計支援システムの実現が強く望まれている。co-LODEXは面積と時間に関する制約条件を受け取り、その制約条件を満たすCMOSスダンダ―ドセルの回路(ネットリスト)を出力する。 さらに、面積または時間について厳密に最適な回路を設計することもできる。複数のプロセッサによる並列処理とその間の協調動作により、短いターンアラウンドタイムが実現された。 特徴 (1)最適化機能 対応する制約条件を厳しくして繰り返すことにより、面積または時間について厳密に最適な回路が設計できる。 (2)評価・再設計機構 制約違反の十分条件(Nogood Justification:NJ)を利用して評価・再設計を行う。 (3)協調設計機構 設計の単位となるエージェントは、設計結果(成功の場合)あるいはNJ(失敗の場合)を交換することにより協調する。 概要 ユーザは動作仕様、構造仕様、及び、面積と時間に関する制約条件を指定する。図1に例を示す。動作仕様(右上)はハードウェア記述言語で記述する。構造仕様(左)はデータパスのブロック図で記述する。制約条件はゲート数あるいは伝播遅延時間に関する不等式で表され、不等号の向きを変えた不等式(デフォルトNJ)に変換される。各ウィンドウには、時間に関するひとつの制約について、対応するパス(左)、オペレーション(右上)、デフォルトNJ(右下)を反転表示している。 co-LODEXは回路全体を部分回路に分割して設計する。各部分回路は設計エージェントにより設計される。co-LODEXでは、クリティカルパスの候補となるパス上のブロックが、できるだけ少数のエージェントに分配されるように回路を分割する。制約条件を共有するエージェントは互いに通信しなければならないから、クリティカルパスの候補となるパスを担当するエージェント間には多量のエージェント間通信が発生するからである。 co-LODEXは制約条件を満たすようなCMOSスタンダードセルのネットリストを出力する。このネットリストはCMOSスタンダードセル用の自動配置配線システムヘの入力である。 協調設計機構 部分回路はエージェント内で階層的に設計される。図2にその様子を示す。減算器の構成要素である加算器(右上)はスタンダードセルで実現される。実現方法は3通りあり、左上から右下の3つのウインドウ上に表示されている。 各エージェント内での評価・再設計機構は制約違反の十分条件(NJ)を使用する。NJが満たされることは制約違反を意味し、評価・再設計機構が起動される。詳細については『Minoda1992]を参照されたい。 部分回路を越えた評価・再設計はエージェントが設計結果(成功の場合)あるいはNJ(失敗の場合)を交換することにより起こる。我々の協調設計機構では、他のエージェントから受け取ったNJから作ったNJは、そのエージェントの探索空間を狭めるのに役立つ。co-LODEXを“協調型"と呼ぶ理由はここにある。 付録に協調アルゴリズムの流れ図を示す。 実験結果 我々はco-LODEXをMu1ti-PSI上にKL1言語を用いて実装した。 実験結果によれば、(1)co-LODEXは効果的に最適化を行うことが