適応型電子装置診断実験システム デモ概要 バケット交換機を約70の機能レベル部品で分割しモデル化し、学習および診断機能の有効性を示す。まず、学習機能を用いて、故障履歴から各構成部品の故障確率分布を推定する。確率分布は、推定木の形式で表示される。次に、その分布を基に、故障を想定したモデルを使ってシミュレーションを行いながら、テストの選択、実行を繰り返して候補の絞り込みを行っていく。絞り込みの様子は、故障確率を色の濃さで表しながら、画面に随時グラフィック表示される。学習機能及び診断機能はMulti-PSIによる並列処理で実行される。下図に画面例を示す、 事例に基づく回路設計支援システム 概要 本システムは、事例べ一ス推論技術実証用の実験システムである。限られた期問内で様々なバリエーションヘの対処が必要となる設計業務においては、設計事例の蓄積と活用が重要課題となる。本システムは、類似した既知の回路設計事例を利用して、新たなデジタル回路の設計支援を行う。 特徴 構造インデキシング 設計対象の機能構造を表す機能系統木により事例をインデキシングする。 柔軟な事例検索機構 設計対象の部分機能構造と既設計の回路の機能構造の類似性を構造写像エンジンにより判定し、機能的に類似した事例を検索する。処理の高速化を図るために、問題と事例とをPEにバランス良く割り振り、並列に事例を検索する。 事例修正機構 検索された事例に対して、詳細仕様の検証と修正、構造写像エンジンによる失敗の予測と回避、回路ブロックの組合せを行う。 概要 知識を効果的に獲得、利用するための方法論として事例べ一ス推論が注目されている。事例べ一ス推論の実証実験を目的として、事例に基づく回路設計支援システムを試作した。限られた期間内で様々なバリエーションへの対処が必要となる設計業務においては、設計事例の蓄積と活用が重要課題となる。本システムは、類似した既知の回路設計事例を利用して新たなデジタル回路の設計支援を行う。 アプローチ 利用可能な類似事例の抽出に焦点を当てて研究を進めた。 ●構造写像エンジン(SME)を事例検索の核となるエンジンとして採用した。 ●事例のインデックスには、構造化した機能表現を与えた(機能系統木)。 システムの概要 システムの特徴的な部分についてその概要を述べる。 構造インデキシング ●機能系統木は、対象物が持つ機能を系統的に整理して表現するための手段であり、主機能と副機能の関係を木構造状に展開したものである。 ●機能系統木の各ノードは機能を表す簡潔な単文である(図1)。 ●サブ機能系統木は全体の機能系統木を、機能間のデータの流れ毎に分割したものである(問題分割)。 ●与えられた設計対象のサブ機能系統木を作り、これを検索のキーとする。 ●事例側の回路ブロックにはすべて自分白身の機能系統木が予めインデックスとして付与されている。 柔軟な事例検索機構 1.SMEによる事例検索 ●SMEは、上位の関係構造が同じであれば下位の構造に多少の違いがあっても、構造的類似性をもつものとして事例を抽出することができる。 ●SMEにより、機能系統木問の類似度が評価され、細部の仕様は異なっていても全体的に最も似た機能構造を持つ回路を検索する(図2)。 2.並列事例検索 ●各プロセッサに問題と事例とを偏りのないように分散させて、並列に事例の検索を行う。 ●180個の事例に対して、22個のサブ機能系統木を与え、64PEのMu1ti-PSIで並列検索した結果、20倍程度の台数効果が得られた(図3)。 事例修正機構 1.検索事例の検証 検索された事例と詳細仕様が一致しない場合は、修正ルールによってその検索事例の利用可能性を検証する。進数変更、素子数の増減、他の回路への置換等に関する修正ルールがある。 2.失敗予測・回避 過去の障害状況と障害回避法を因果関係構造で表して事例化し、新たな設計の際に、SMEにより類似の障害が発生しないか否かを予測するとともに、失敗の回避法をアドバイスする(図4)。 成果 非定型で応用的なデジタル回路に対する設計実験を通して、SMEを利用した事例べ一ス推論の枠組の有効性が確認できた。また、負荷の重い事例検索タスクに対し、並列処理の有効性が確認できた。 デモ概要 伝送回路の応用問題(エアコン性能計測装置の設計)を対象とする。 ●分析された問題側の22個の部分機能系統木に対して、利用可能な事例を180個の事例回路から並列検索し、修正し、組み合わせる。 ●設計結果は118個の機能ブロックから構成される。 ●検索された類似事例の回路の内容を修正内容とともに示す。