析を行うものである。PAXは基本的にチャート法と同等の構文解析アルゴリズ ムになっている。我々の型判断システムはPAXのプロセスと通信データの関係 を反転させたものになっている。また、我々のシステムと同等の構文解析システ ムがICOTの瀧によって考案されている。 文法及び辞書記述の例[主語と目的語の意味的関係の動的決定] 以下の文法規則例は、主語に依存していかに目的語の意味範疇の適切性が動的 に変更されるかを示している。 {np,[sem=Subj]} < ({vp,VP} → {s,VP=[agent=Subj]}) この規則は、型npの上位の型が関数型“vp→s"であることを示しており、 あるオブジェクトがnpとして判断されたならば、それはvpという型を持つオブ ジェクトが適用されると結果としてsという型のオブジェクトになるような関数 でもあるということを意味している。この規則ではvpが持つ全ての記述はsにマ ージされ、npのsemという素性の値はsのagentという素性の値と単一化され る。 次にこの規則に対応する語彙項目を掲げる。 eats: {np,[sem=Obj]} → {vp,[agent=Ag:{animal,[eat_obj=Obj]}]} john: {np,[sem={human,Id,[name='John']}]} the_tiger: {np,[sem={tiger,Id,[]}]} この辞書ではオブジェクトeatsはnp→vpという型であり、さらに記述が付 加されている。その記述に書かれているのは、agentという素性の値は型付き変 数であり、その型はanima1というソートであって、そのeat_objという素性の値 が型npのsem素性の値と単一化されているということである。 意味範疇を定義する規則は次のものとする。 {tiger,[]} < {animal,[eat_obj=E:{animal,[]}]} {human,[]} < {animal,[eat_obj=E:{food,[]}]} この規則の意味は、トラは動物を食べる動物であり、人問は食べ物を食べる動 物であるということである。 この文法規則と辞書のもとではjohnもthe_tigerも意味範疇は動物であるが、 (the_tiger,eats,john):sという判断は成功するのに(john,eats,the_tiger): sという判断は失敗する、その理由はこの意味範疇を統御する規則のもとではトラ は食べ物として判断できないからである。 - 115 -