立論テキスト生成
人間によって書かれた立論文章は、著者の観点に基づいて判断や態度を表明す
るよう、適切に構造化されている。一方、コンピュータで一貫した文章を生成す
ることは困難である。従って、コンピュータによって高品質な立論テキストを生
成しようとすると、一貫性や適切な構造のプラニングが必要になる。我々の研究
の目的は、一貫性のとれた文章の生成や明確な観点の表明のための立論戦略の追
及を行なうことにある。
文章生成のメカニズム
システムの観点は立論ゴールを与えることにより設定される。Dulcineaは自
分の持つ信念に従って、与えられた立論ゴールを正当化する立論テキストを生成
する。立論テキストは、直接の論拠の他に、予想される反論への批判、それらに
対する実例からなる。信念内容は、事実、規則、事態に対するシステムの判断の
三種類からなる。信念の例を以下に示す。
規則: change[obj2=bus-route,loc=L]⇒decrease[obj2=passenger,loc=L].
事実: introduce[obj=one-way-system,loc=Midosuji].
判断: ng[abolish[obj=bus]].
システムに与える立論ゴールは、以下の表に示す三種類の様相表現から選ぶ。
ここでAはある事態を表している。もしg(A)がシステムの判断に含まれている
ならば、システムはAが良いことだと信じている。
Du1cineaは立論の意味内容を立論グラフとして表現する。以下の図は「逆行
レーンを実施すべきである」という主張を表す立論グラフである。逆行レーンと
は、一方通行道路においてバスに限って逆行を認める特別なレーンのことである。
更に、言語的なテキスト構造に関する立論の戦略が立論グラフに対して適用さ
れ、抽象的な文章構造であるFTS(Functional Text Structure)が作られる。
FTSは意味内容だけでなくテキスト構造も表している。
次にDulcineaは、文の順序と接続表現の情報をFTSに加えることにより様々
な文の順序と接続表現を持つ文章構造を生成し、その後に言語的な知識に基づく
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