状況推論への応用
対象とする問題:
自然言語理解における、信念の扱い、テンス・アスペクトなどの時問的情報の
扱いにおいては、状況(文脈)に依存した知識の表現と、推論機能が必要とされ
る。状況推論のために必要となる機構として以下のものがある。
- 環境に依存するパラメータの記述と利用
- 環境に依存した推論規則の適用
- 暗黙的なパラメータの明示化
Quixoteの利点:
上の機構は、Quixoteの基本的な機能により自然に実現できる。
- モジュールによる状況の表現
- オブジェクト項とその属性による、パラメータの表現
- モジュールを伴うルール記述と、モジュール問関係の設定による、環境に依
存した推論規則の適用
- 制約による暗黙的パラメータの明示化
- 仮説付き問合せによる、環境情報や仮説的情報の付加
デモ内容:
- 見方(Perspective)の定式化による時間情報の推論
テンス・アスペクトは同じ状況に対する異なった見方であるという前提に立
ち、個々の単語が持つ時間特性を集積して、語句全体の時問的意味を導く。
例として、複数の意味をとりうる日本語の「ている」を取り上げ、それらの
暖昧性を明示する推論を行なう(以下は「着ている」の解釈例)。
(進行)着る最中である。(結果状態)着た状態である。(経験)着たことがある。
- 信念と知識に依存した推論
ある同じ推論規則を適用しても背景にある隠れた信念・知識により、異なっ
た推論結果を導くことがある。ここでは次の例文で、各々の発話者の知識に
基づく推論を考える。
If Bizet and Verdi are compatriots,then Bizet is Italian.
If Bizet and Verdi are compatriots,then Verdi is French.
- 84 -