概要

配置問題とは、LSIのレイアウト設計において、与えられた回路データとセル
情報をもとに、チップ上の配線領域が最小となるような、個々のセル位置を求め
るものである。
しかしLSIを構成するセル数は非常に多く、配線領域を最小化するためには、
膨大なセル配置の組合わせを調べなければならない。このような組合わせ最適化
問題に対し、シミュレーテッドアニーリング(SA)と呼ばれる逐次アルゴリズムが
有効であることが知られている。
並列SAは、逐次SAを適用する際に問題となる、「温度」と呼ばれる制御パ
ラメタの設定を自動化するために、新たに考案した並列計算機向きのアルゴリズ
ムである。
本実験システムは、並列SAを用い、PIM上でLSI設計における配置問題を解
くものである。

設計対象LSI
本実験システムの対象は、ポリセル
型のスタンダードセルである。

これは高さが一定で幅がまちまちな
セルで構成され、セルの集合であるセ
ル列を複数並べた構造をもつ。
このLSIの各セルおよびチップ周辺に
存在する端子問を結ぶ配線の総延長を、
最小化することが目的である。
P.36 Figure 1
スタンダードセルの例
逐次SAアルゴリズム 逐次SAは確率的アルゴリズムの一種であり、疑似乱数を用いて、繰返し解を 改善する。 セル配置に適用した場合には、セル位置をランダムに変更しながら、配置を繰 返し改善する。このとき、処理の初期段階では大域的な改善が、後半では局所的 な改善が行われるように「温度」と呼ばれるパラメタを使用して制御を行う。温 度は低い程、局所的な改善が行われる。 「温度」の制御は対象とする問題に依存し、最適な制御が異なるため、逐次SA の適用にあたっては、個別に調整が必要である。 - 36 -