高水準の知識情報処理の技術

1.論理型のパラダイムを基に、論理式や種々の領域の制約として、知識を表現
 する技法を開発し、知識表現言語Quixoteや制約論理プログラミング
 言語GDCCとして提供している。。これによって、人問社会に蓄積されてい
 る知識を記述し、コンピュータが理解する形式に変換する自由度が、大幅に
 向上した。

2.高水準の知識表現を許しながら、大容量データを効率的に管理する知識べ一
 ス管理技術や高並列データベース管理技術を新たに開発した。その中核部分
 は、演繹オブジェクト指向データベースシステム(Quixote+Ka
 ppa-P)として、並列推論システム上に試験実装し、有効性を確認して
 いる。

3.論理的に表現された知識を効率的に利用して、知的応用システムを作るため
 には、高水準の高次推論機構(エンジン)が必要である。並列自動定理証明
 システムMGTPは、このようなエンジンの中核となるものである。
 このような機構を用いて、事例べ一ス推論や仮説推論などの高次推論機構の
 基礎技術とソフトウェアツールを提供している。ソフトウェアツールは、並
 列推論システムの強力な記号処理能力に裏打ちされており、従来技術では手
 の届かなかった高水準の知識処理が、実現可能なものとなっている。

実践的な機能実証と新しい応用分野の開拓

1.KL1とPIMOSの提供する快適な並列プログラミング環境によって、知
 識処理や記号処理の多くの応用問題の中から、高い並列性を抽出し利用する
 ことが可能となった。これらの多くは、非定型的な並列性であり、従来技術
 では、抽出し利用できなかったものである。このため、多くの応用問題にお
 いて、数十倍から数百倍の速度向上が達成でき、第五世代技術の汎用性と有
 効性を実証できた。
 また、定理証明システム、遺伝子の配列解析システム、CADシステムなど
 の記号処理の問題では、速度向上と共に、並列ソフトウェアの生産性、保守
 性が極めて高いことが確認された。

2.知識表現技法や高次推論機構の利用により、従来の技術では、実用レベルに
 到達し得なかった知的水準の高い、エキスパートシステムやプログラムの生
 成支援システム、自然言語処理システムなどが、構築可能となった。


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