主催者及び実行委員長挨拶
主催者

(財)日本情報処理開発協会 先端情報技術研究所 所長  内田 俊一

  今年も昨年に引き続き第2回KLICプログラミングコンテストを開催させて頂きました
ところ、逐次環境部門、並列環境部門、それに自由課題部門のそれぞれに優れた作品の
応募がありました。それらの中から受賞作品が決定され、 この度、発表の運びとなり
ました。 応募された方々、応募しようとプログラム作成に着手したもののもう一歩及
ばなかった方々、それに問題作成や審査にご協力頂いた方々に主催者側を代表してお礼
申し上げます。

  今年は逐次環境部門、並列環境部門ともに、応募者にKL1言語や並列処理の特徴をより
深く理解してもらおうと出題者側が意図したと聞いております。この結果、課題の難易
度が上がりエントリーしたもののプログラム作成が締め切りに間に合わなかった応募者
の方がかなり出たように聞いております。

  しかしながら、応募頂いたプログラムは、洗練されたものが多く、逐次環境部門の課
題では、組合わせ最適化問題を解くことを求め、そのために何らかの近似手法を工夫し
なければならなかったものの、ほとんどはその要求をクリアーしており、優劣をつける
のに苦労したとのことです。

  また、並列環境部門では、応募プログラムは、一点を除いて実際に並列マシン上で
デバッグ及びチューニングが行われたものでありました。これは、昨年の応募プログラ
ムのほとんどが並列マシンが利用できず机上でデバッグされたものであったことと比
べ大きな進歩です。これは大学においても並列マシンの整備が進んできたことを示して
おり、KL1など並列言語や並列応用ソフトウェアを普及させようとしている我々にとり
喜ばしい変化といえましょう。

  しかし、応募頂いたプログラムの完成度が高くなったかわりに、当初のエントリー数
が50点弱、プログラムの応募総数は18点と主催者側の期待より、大分少ない数となって
しまいました。この辺は、来年は審査委員の先生方にお願いして初心者向けのエントリ
ー枠を設けるなど、もう一工夫したいものと考えております。(なかなか難しいでしょ
うが)

  最後に、受賞者の方々にお祝い申し上げるとともに、もう一歩及ばなかった方々に
は、また、来年チャレンジして頂くようお願い申しあげます。また、本コンテスト実施
のためご協力頂いた皆さんどうもありがとうございました。

実行委員長

東京理科大学理工学部経営工学科 教授  溝口 文雄

昨年度に引続き、「KLICプログラミングコンテスト」の
実行委員長兼審査委員長をお引受けしました。
このコンテストは第五世代コンピュ−タプロジェクトで開発された
並列論理型言語KL1の処理系KLICの普及促進を図ることを
目的に企画されたものです。KL1による並列プログラミングの
技量を試す絶好の機会でもあり、応募要領を雑誌やホームページに
英語版を含めて掲載するなどして、多くの作品を募りました。

コンテストは昨年同様、逐次環境部門、並列環境部門、自由課題部門の
3部門を設定しました。今年の応募状況は次のようになりました。

        逐次環境部門    8件(昨年度 54件)
        並列環境部門    9件(昨年度 15件)
        自由課題部門    1件(昨年度  8件)

このように、昨年に比べるとかなり件数が減ってしまいましたが、
応募の特徴を一言で言うと、”量より質”であると思います.
これは、逐次環境部門と並列環境部門の問題を別々に設定したため
複数部門の応募者が少なかったこと、また応募作品の優劣をはっきりさせようと
思い、問題をかなり難しくしたことが挙げられます。そのために、
今回は取っつきにくい問題だったようで、応募にかなりの覚悟が必要だった
のかもしれません。しかし、作品の質は非常に高く、審査する側としては
楽しく見させて頂きました。ただ、自由課題部門は1件とさびしいもので、
もう少し応募があって欲しかったと思っています。

さて、審査委員会の作業ですが、委員会のメンバーは昨年度と同様に、かつて
ICOTにおいて、KL1の設計や処理系開発、また、そのユーザで
あった方々に参加していただきました。また、与えられた課題に対する応募
作品の実行時間の測定やマニュアルの評価などを正確かつ公平に行なうため、
かなりの数の方々に協力いただきました。

各部門の審査状況につてはそれぞれの講評をご覧いただくとして、
全体的にみると、応募作品はKL1の特徴をよく理解し、工夫を凝らした
作品が多く、審査委員長としては、満足のいく結果となりました。

受賞者には昨年同様、表彰状及び副賞 (最優秀賞:50万円 優秀賞:30万円 
佳作:10万円 参加賞:図書券5000円) が送られます。表彰状及び副賞の授与
につきましては、別途事務局より連絡させていただきます。

今後、皆さんの周囲に、並列マシンが導入されましたら、KLIC処理系
をインストールされ、来年のコンテストの並列環境部門に、是非ご応募
いただけるようお願いしたいと思います。同様に、逐次環境部門や自由
課題部門への応募もよろしくお願いします。

ご応募頂いたみなさん、また、審査にご協力頂いたみなさん、ありがとう
ございました。来年も、本コンテストを実施する計画ですのでよろしく
お願い致します。