標茶から道々31号を北に向かうと，途中に大きな看板が出ていて，
「地平線が見える大牧場 多和平」
と書いてある．ここを左折し，5km ほど行くと右手に多和平はある．多和平とは，標茶町多和育成牧場のある丘を指し，そこにある展望台が多和平展望台，その展望台周辺にはキャンプ場が作られている．この辺の町はこの手法で観光客を捕まえる．ハシリは御存知，中標津の「開陽台」である．これに続けとばかりに作られたのが標茶の「多和平」と弟子屈の「900草原」である．900草原はまだ行ったことがない．開陽台は翌日訪れることになる．
丘のてっぺんにキャンプ場と展望台がある．まさに牧場の中にある．テント設営を申し込むとゴミ袋をくれた．自転車を押して丘を登ってテン張る場所を吟味する．でも早く展望台に登ってみたくて，適当な場所に自転車をおいて，カメラを持って，走って丘を上った．展望台にあがると，そこには‥‥もう文字通り筆舌に尽くし難い，圧倒される展望が開けていた．なだらかに幾重もの波のような丘が地平線まで続き，今暮れようとしている太陽は，その起伏の緩やかな丘にも奇麗な陰影を付ける．その景色が 360°全方位に広がっているのだ．視線を近くに戻せば，牧場の中にカラフルなテントがポツポツと点在する．文句無しにこの夏一番のビューポイントだった．
惜しみながらも展望台を降りると，数人のカメラ好きが朝日を撮らんと東向きにテントを立てている．僕も日のあるうちにテントを立ててしまおうとチャリのところに戻った．