落石岬 C. Ochiishi

初田牛駅からそのまま東へ 1 時間爆走する(今日二度目の爆走モード).後輩のペースが予想以上に速いのに若干の年齢差を感じながら,落石駅近くの交差点に出る.岬を見た後この町で一泊してもいいかな,と走りながら思っていたが,10 名の腹を満たす食料を買い出しできる店はまったく見当たらないので,根室が本日の宿泊地に決定した.

交差点を右折し岬に向かう.すぐに急な下りになったが,ここで塾生 3 名が玉突き衝突をした.目的地に近づいたと気を抜いたのだろう.一人の自転車の泥よけか何かが破損したが,怪我はなかったのは幸いである.
その後,道は上りになり,小さな看板のところで左折.少し行ったところで舗装は途絶え,自転車を置いていかざるを得なかった.無理に行けないこともないが,雨が降ったらしく,泥まみれになってまでチャリに乗って行こうとは思わなかった.
チャリを置いて,草原の中の泥道を歩いていくと,向こうから一人の男が歩いてきて,すれ違いざま,
「止めた方がいいと思いますよ.フフ」
と言った.彼はそのまま去っていってしまったので,何のことやら分からなかったが,とにかく我々は歩いた.そしてたどり着いたところは‥‥‥‥巨大なアンテナが立ち,後は何もない,海も見えないところだった.
「なんなんだ,お前は ! 」
と,また誰にともなく当たってみたりもしたが,ひょっとしたら道を間違えたかもしれない.知らないうちに雨が降りだしていた.

とぼとぼと来た道を歩いて帰る.収穫はなかった.
チャリのところに帰り着いてみると,周りにお菓子の袋や地図が散乱している.先に着いていた塾生がやりきれない表情で,ゴミを拾っている.
「カラスですよ.吉田さん」
「甘いな諸君.それぐらいは予想できて当然だ」
と言おうとしたが,僕も心配で自分のチャリに駆け寄ってみると,地図の端は多少カジられたものの,被害はゼロといっていいだろう.堀江(仮名)と飯田(仮名)は被害甚大.岬とカラスのせいで著しく塾生の士気が低下していた.

さてこの時何時だったかは覚えていないが,薄暗くなっていたと思う.落石でテン張る事ができない以上,根室に向かわなければ.そこで塾長のチンネンと僕が先行して,根室でテン張る場所と銭湯を見つけ出すことになった.
もう本当にヘトヘトだったんだけど,チンネンと一緒に出発し,徐々に暗くなっていく道々1005号を今日 3 度目の爆走モードで走りはじめた.


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