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ドメイン名の割り当てにまつわる問題

インターネット応用特論 第4回課題内容
現在、ドメイン名の割り当てには様々な問題が起きており、物議を醸しています。 現在のドメイン名にまつわる問題を1つ挙げ、その内容と解決方法を簡単にまとめなさい。

今回の課題は、答えが一つしかないと思います。 ドメイン名にまつわる問題とは、言語すなわち、 共通語としての名前に関する問題です。


識別子としてのドメイン名

IPアドレスは人間の覚えられる代物じゃないというので、 IPアドレスと1対1に対応付けられたホスト名があります。 ドメイン名はホスト名の一部を成し、 そのドメイン名を含むホスト名を持つホストの集合を表しています。

ホスト名は、IPアドレスと違って覚えやすいのでしょうか? いずれもホストの識別子で、羅列されているのが文字か数字かの違いです。 私たちは既に、数字の羅列である電話番号を使いまくっています。

IPv4のIPアドレスは32ビットですが、 32ビットではアスキー文字4文字しか入りません。 IPv6の128ビットでも、16文字しか入りません。 それでも人間にはホスト名のほうが覚えやすいというのは、 文字列を1文字ごとに覚えているわけではないのでしょう。

変わったものが大好きな荒俣宏氏が、 視床下部の冒険だか奇人変人大百科みたいな本を書いていて、 ある種の脳患者の話が出ていました。 その脳患者は、音素の連続から色が見えると言うのです。 「青空」という言葉は青空を表していない。 なぜなら、「青空」は紫色を想起させるから。 その脳患者は独自の辞書を作り上げてしまった。 脳患者のたわごとと言えばそれまでだが、 これは人間のあこがれる絶対言語ではないか。 記憶が定かでありませんが、まあ似たような話だったと思います。

絶対言語を持たない人間にとって、 特定の音素の連続・特定の文字列は不変の意味を持ちません。 言語は学習しなければ習得できないし、 共通語は標準化の努力なしには得られません。

一方、ある種の言葉はほとんど不変の意味を持つように見えます。 人によっては、ハッカー=悪人だったり、神=the Oだったり、 She has a good personality. を She is not beautiful. としか受け取れなかったりします。 やっぱり、名前の良し悪しはあるわけです。


問題はどこにあるのか

問題は、日常使っている分かりやすい言葉が共通語でないことです。 IPアドレスよりはホスト名のほうが分かりやすいし、 アルファベットよりは自国語表記のドメイン名のほうが分かりやすいでしょう。

ドメイン名が世界共通語になることを阻んでいるものは何か? 共通語に求められる条件は分かりやすいことです。 分かりやすい言語とは何か? 分かりやすいのは母国語に似た言語です。 日本語が分かりづらいとされているのは、 単にヨーロッバ語族から離れているためであるようです。

数字より文字、アルファベットより日本語表記が読みやすいのは分かりました。 更なる問題は、商標・登録商標あるいは既に知られた名前とドメイン名が食い違う場合です。 標準化の努力は、ある程度のリーダーシップが必要です。 日本ではJPNICという団体がjpドメインの管理をしているそうですが、 既存の共通語とのすり合わせを努力して続けなければならないでしょう。

必要とされそうなドメイン名を先んじて取得し、 売りつける商売が混乱に拍車をかけていると言う説もあるそうですが、 ドメイン名を売買する商人やドメイン名を売ることを主要産業とする国を非難する気はありません。 こうした商業主義に困る人々は自衛すべきだし、 自衛できる能力と環境があるべきだと私は思います。


まとめ

標準化の努力を続けよう。

ドメイン名がuniqueでなければならないのが問題という説もありますが、 識別子である以上、それは避けて通れません。


早稲田大学 理工学研究科 情報科学専攻 600P031-4 高木祐介