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超グローバルIP

インターネット応用特論 第2回課題内容
世界中の自動車がインターネットにつながる日
世界中の「家電」がインターネットにつながる日
アドレスはどうやって振りますか?
どのように役に立ちますか?
なにが課題ですか?
どのように解決しますか?

世界中の自動車や家電がインターネットにつながるとどうなるか。 すでに「インターネットでチン」とか言ってレンジが製品化されている。


アドレス

現在のIPアドレスは、論理的なアドレスである。

物理的なアドレスとしては、MAC (Media Access Control) アドレスがある。 MACアドレスは、ハードウェアに書き込まれた識別子で、 LANの中で通信先を識別するのに用いられる。 通信元のホストはLAN中の全ホストに通信先のMACアドレスで呼びかけ、 通信先のホストだけが返事をする。 顔を知らない人と待ち合わせをしたときに、 そこら中の人に「○○さんですか」と聞きまくって相手を見つけるようなものだ。

IPアドレスは、住所のようなものだ。 すべてのホストが地元で製造されたNIC (Network Interface Card)を使うわけではないので、 MACアドレスでは相手がどこにいるのか分からない。 (全ホストに聞きまくらなければ。) インターネット中のホストに聞きまくると大変なことになるので、 IPアドレスは、国別、地域別、のように広い範囲から狭い範囲へと 徐々に相手に近づいていけるようになっている。

家電はそう動かないからIPアドレスで良いが、 自動車のように移動するアドレスはどうすべきか? 徐々に相手を絞り込んでいくIPアドレスは、相手が動かないことを期待している。 ネットワークの変化に対応できるDHCP (Dynamic Host Configuration Protocol) は、 ホストが移動することではなく増減することを考慮したものでしかない。

移動するものには、やはり物理的なMACアドレスを使うことになる。 PHSによるモバイル接続 (PIAFS) は、これと同じことをやっている。 場所を特定できない携帯電話・PHSでは、同じ携帯のLANを作り、 通信先の電話番号ですべての電話に呼びかけ、相手に返事をさせるしかない。

MACアドレスでLAN内の識別、IPアドレスでLAN間の識別ができれば、 通信先の識別ができることになる。 物理・論理アドレスを分けることに意味はある。 例えば、NICを買い換えて同じIPアドレスを使いたい場合 だ。 しかし、分かれていようと統一されていようとビット列に変わりはないのだから、 これは本質的な問題ではない。 要するに、車や携帯電話にIPアドレスを振ることは可能である。 さらにMACアドレスが必要かどうかは実用上の問題である。

アドレスの振り方

動かない家電は問題ない。 IPアドレスに余裕があれば良い。

動くものは、携帯電話とか自動車とかなるべく狭い範囲に特定したLANを作り、 無線でブロードキャストを行う。 IPアドレスが物理的な性格を持つことになるが、問題はないだろう。


機能

家電や自動車にIPアドレスが振られると、そのすべてを識別できることになる。

「インターネットでチン」するレンジは、 さすがにインターネットでマイクロウェーブを浴びせるとゆうのではなく、 料理のメニューをダウンロードする程度のものだと思うが、 グローバルIPアドレスが振られると、 逆に他からの要求にしたがって近況をアップロードすることも可能になる。

自動車に対する情報システムとして、 すでにGPSによるナビゲーションシステムがある。 GPSは光学的に渋滞情報などを集めているのだろうか? グローバルIPアドレスが振られれば、 電離層を通過し雲にもさえぎられない種類の電磁波による通信手段が使える。 そういう都合の良い種類の電磁波について私は詳しくないが、 BS/CSって光じゃない電波だよね?そういう電磁波はあるんでしょ? それともBS/CSの衛星が電離層より低空にあるのか。 いずれにしても実用されている。

GPSによって位置がわかり、IPアドレスによって識別ができるとすると、 新幹線に使われている自動ブレーキシステムを個々の自動車に搭載できる。


課題と対策

携帯電話の電磁波がペースメーカーの動作に影響を及ぼすことは昨今問題にされている。 自動車の無線接続も同様の問題を起こすだろう。 都合の良い種類の電磁波を選択しなければならない。 家電なら赤外線。 自動車なら道路に導線、というのは難しいか。

機能そのものの問題もある。 すべての家電や自動車を識別できれば、管理することもできる。 特に自動車のように殺傷能力があるものは、 単なるコンピュータ以上のセキュリティが必要になる。

とはいえ、すべての家電や自動車を管理するのは非常にコストがかかる。 LAN内のことはLANに任せて関知しないというのがWANのポリシーとして 工学的に良い解だろう。 問題なのはシステムによる独裁ではなく、 1人のストーカーが他者の個人情報をどこまで探れるか、 あるいはクラッカーがどの程度の破壊を行えるか、ということだ。

システムが故障したとしても損害を抑えるには、 常に安全側のポリシーをとる必要がある。 自動車に自動ブレーキを載せても自動アクセルは載せないとか。 新幹線でもそうだろう。


早稲田大学 理工学研究科 情報科学専攻 600P031-4 高木祐介