8月27日(木) ゴッホ美術館で

ゴッホ博物館の前で、その絵はがきを書いていた。日本人はそう珍しくはない みたいだけど、漢字が随分めずらしいようだ。スペイン人のにーちゃんたちが 寄ってきて、
「その文字で、俺の名前を書いてくれ」
といってきた。いつもニコニコ現金払い、もとい、いつも気のいい僕は、
「喜んで」
といって書いてあげた。カタカナで書いたけど、適当に漢字を当ててあげれば よかったかな。

しかし、ちらっとこんなことを考えたことも事実。

「どうせ、2度と会うこともないしー」
「何書いても解らないしー、えへっ(あくにん笑い)」
感じの悪い人だったら、そうしてたかもしれない。

その次は、階段のとなりに座っていたおばさんとおねーちゃんが、

「どっから来たの?」
とありがちな質問。
「いやー、日本からですよー」
と、しばらくよくある会話がつづき、またも漢字の話になった。
「日本には、3種類の文字があって…」
「で、縦に書くことも、横に書くこともあることもあるんですよー」
今、考えてみれば何でそんなことを聞かれたんだかよーわからん。ここで、で たらめを教えたら…とまた思ってしまった。いかんいかん。

とりあえず、絵はがきが書き終ったところで、となりの近代美術館にいってみ る。こっちは、結構またがらーんといてそうな雰囲気だった。

ちょうど、美術館の前4段ぐらいの階段に日本人らしき女の人が座っていた。 遠くからでも日本人を見分けるのは簡単だ。うまく書けないので箇条書にして みよう。

「だれでも持ってる『地球の歩き方』」。僕も持っていった。あれを見ていれ ばまず日本人だ。(例外もあるけど、あとで書きます)。みんなと一緒というの はなんだけど、なしで旅行すると、ものすごく辛いものがある。ガイドブック を1つ持つんなら、仕方がないな。

話は戻って、その女の人も地球の歩き方を見ていたわけだ。がらーんとしてい るから、面白いかどうかきいてみることにした。あとで話をしてたら、 29歳といってたけど、もっと若く見えて、結構きれーだった (旅行中見た人の中で1番綺麗だった)。

「ここどうでした?」
「あ、ここ見てないんですよ」
うひー、なんでここにいるんだよーと思った。でも、これでは話が途切れてし まう。自然に、とりあえず話を繋ごうという意志が働いた。
「入館料が高くて、躊躇してるんですよ」
とか、いって話をつなぐ、とりあえず、日本人が出てきたらその人に聞いてみ るということにして、しばらく待つことにした。

その間、話さないのも変なので、今までどこを見てきたとか、そんな話を聞いていた。 そのうち、僕の話になって、

「1日5000円ぐらいで旅行しようと思ってるんですけど、観光に金がかかって…。」
「今日なんて、昼は40円のパン1個ですよー、ははは」
なんて話していたら、
「じゃあ、私がホットドッグおごってあげるわ」
といわれてしまった。らっきー。結局、ホットドッグと7UPをおごってもらって、 そのあとも1時間ぐらい話して、 ぼくはそこを去ることにした。そのときには近代美術館のことはてっきり忘れてしま っていた。
8月28日(金) アムステルダム出発
8月27日(木) 午後のできごと 目次に戻る